作:木村 研、絵:村上 康成による『999ひきのきょうだいのおひっこし』(2004年、ひさかたチャイルド)は、小さな池に住むカエルの大家族が、広い池を目指して大冒険に出かける物語。999匹の子どもたち、そしてお父さんとお母さんが力を合わせて「ひっこし」を決意するところから始まります。道中ではヘビに出会ったり、お父さんがとんびにさらわれそうになったりとハラハラの連続! でもみんなでつながって協力する姿は、ユーモアと家族愛がいっぱい。村上さんのカラフルなイラストが賑やかさを盛り上げ、読むほどに心と体がわくわくする絵本です。
略歴
木村 研
木村研(きむら けん)さんは、1949年、鳥取県生まれの児童文学作家で、手づくりおもちゃや遊びの研究家としても著名。漫画編集者を経て児童文学の世界へ。作家としては「999ひきのきょうだい」シリーズをはじめ、多くの子ども向け作品を発表し、日本児童文学者協会の理事も務めています。『999ひきのきょうだいのおひっこし』は2012年ドイツ児童文学賞にノミネートされ、さらに子どもたちが選ぶ「金の本の虫賞」を受賞。全国各地で絵本やおもちゃづくりの講師としても活躍中です。遊び心とユーモアにあふれた制作活動で、多くの親子に愛されています。
村上 康成(絵)
村上康成(むらかみやすなり)さんは1955年岐阜県生まれ。魚や森など自然をテーマにした作品が多く、「自然派アーティスト」としても知られます。代表作に『ピンクとスノーじいさん』や『なつのいけ』などがあり、1995年には『ようこそ森へ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。中川ひろたかさんとのコンビでも多くの絵本を手がけ、子どもたちの成長や日常をやさしく描き出しています。個展や講演活動も精力的に行い、絵本の魅力を広げ続けています。
おすすめ対象年齢
この絵本は、3〜6歳くらいの幼児から小学生低学年向けです。999匹というたくさんの登場キャラと「お引っ越し」&「空を飛ぶ」などのダイナミックな展開が、子どもたちの好奇心を刺激します。絵も賑やかで視覚的にも楽しめるので、読み聞かせはもちろん、一人読みのきっかけにもぴったり。親子で一緒にページをめくってワクワクできる一冊です。
レビュー
999匹が動き出す出発シーンからしてワクワク感満点!お父さんとお母さんが先頭に立ってみんなをまとめる姿には、家族の絆をほのぼの感じます。道中でのヘビやとんびとのアクシデントもスリルがあって、読んでいると自然と応援したくなる気持ちに。最後には、空を飛んじゃうという予想以上の展開で、ページをめくる手が止まりません。村上康成さんのイラストは、999匹でもわかりやすく楽しく描かれていて、色彩も鮮やか。読むたびに新しい発見がある、親子で何度も楽しめる究極の冒険絵本です。子どもに勇気と笑顔を届けたい時におすすめ!