木村研さん作、村上康成さん絵の『999ひきのきょうだいのはるですよ』(2009年 ひさかたチャイルド)は、にぎやかなカエルファミリーの春の目覚めを描いたお話。冬眠していたお母さんガエルが目を覚まし、「はるですよー」と元気にみんなを起こします。もこもこと子どもたちが土の中から出てくるけれど、数えてみると998匹…?やっぱり寝坊していたのは、シリーズおなじみののんびり屋のお兄ちゃん!あたたかな春の光とともに、ほのぼのした家族のやりとりが楽しめる一冊です。春の訪れが待ち遠しくなるような、笑顔あふれるストーリーです。
略歴
木村 研
木村研(きむら けん)さんは、1949年、鳥取県生まれの児童文学作家で、手づくりおもちゃや遊びの研究家としても著名。漫画編集者を経て児童文学の世界へ。作家としては「999ひきのきょうだい」シリーズをはじめ、多くの子ども向け作品を発表し、日本児童文学者協会の理事も務めています。『999ひきのきょうだいのおひっこし』は2012年ドイツ児童文学賞にノミネートされ、さらに子どもたちが選ぶ「金の本の虫賞」を受賞。全国各地で絵本やおもちゃづくりの講師としても活躍中です。遊び心とユーモアにあふれた制作活動で、多くの親子に愛されています。
村上 康成(絵)
村上康成(むらかみやすなり)さんは1955年岐阜県生まれ。魚や森など自然をテーマにした作品が多く、「自然派アーティスト」としても知られます。代表作に『ピンクとスノーじいさん』や『なつのいけ』などがあり、1995年には『ようこそ森へ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。中川ひろたかさんとのコンビでも多くの絵本を手がけ、子どもたちの成長や日常をやさしく描き出しています。個展や講演活動も精力的に行い、絵本の魅力を広げ続けています。
おすすめ対象年齢
対象年齢は3歳から小学校低学年くらい。春や季節の変化を感じながら、兄弟の絆や家族の温かさを自然と楽しめる内容です。特に読み聞かせにぴったりで、春の季節の導入にもおすすめ。リズム感ある文章と親しみやすいキャラクターたちで、子どもたちもすぐに夢中になります。
レビュー
シリーズのなかでも春らしいワクワク感がたっぷり詰まった一冊!まだ眠たそうにしている999匹の兄弟たちが、もこもこと起き上がる描写はまるで春の草花の芽吹きのようで、見ているだけでぽかぽかした気分に。のんびり屋のお兄ちゃんが最後に登場するのもお約束で、読んでいて「やっぱりね!」と笑顔になります。季節の移り変わりを感じながら、家族のにぎやかさや親しみやすい日常の一コマを楽しめる、春の読み聞かせにぴったりな作品です。