999ひきのきょうだいのほしをさがしに/木村 研

『999ひきのきょうだいのほしをさがしに』(2019年 ひさかたチャイルド)は、木村研さんと村上康成さんによる大人気シリーズ「999ひきのきょうだい」の夏の夜が舞台のお話。かくれんぼ中、見つからなかった弟を探すお兄ちゃん。ようやく見つけてホッとしたのもつかの間、夜空に流れる星を見て「まいごになっちゃう!」と、今度はみんなで“ほし”をさがすことに。ユーモアと兄弟愛がたっぷり詰まった展開にワクワクします。夜空の美しさとほしのおとうとの登場が、読み終えたあとにじんわり心に残ります。

略歴

木村 研

木村研(きむら けん)さんは、1949年、鳥取県生まれの児童文学作家で、手づくりおもちゃや遊びの研究家としても著名。漫画編集者を経て児童文学の世界へ。作家としては「999ひきのきょうだい」シリーズをはじめ、多くの子ども向け作品を発表し、日本児童文学者協会の理事も務めています。『999ひきのきょうだいのおひっこし』は2012年ドイツ児童文学賞にノミネートされ、さらに子どもたちが選ぶ「金の本の虫賞」を受賞。全国各地で絵本やおもちゃづくりの講師としても活躍中です。遊び心とユーモアにあふれた制作活動で、多くの親子に愛されています。

村上 康成(絵)

村上康成(むらかみやすなり)さんは1955年岐阜県生まれ。魚や森など自然をテーマにした作品が多く、「自然派アーティスト」としても知られます。代表作に『ピンクとスノーじいさん』や『なつのいけ』などがあり、1995年には『ようこそ森へ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。中川ひろたかさんとのコンビでも多くの絵本を手がけ、子どもたちの成長や日常をやさしく描き出しています。個展や講演活動も精力的に行い、絵本の魅力を広げ続けています。

おすすめ対象年齢

対象年齢は3歳ごろから。読み聞かせにはぴったりのテンポ感と、兄弟のやりとりのかわいさが小さなお子さんにぴったりです。ページをめくるたびに展開が変わるので、飽きずに楽しめる内容になっています。夜空の描写もあるので、寝かしつけ絵本としてもおすすめ。

レビュー

読んでいてほっこりする一冊。やっぱりこのシリーズは、お兄ちゃんの優しさと弟たちの元気なやりとりが魅力的です。今回は「ほし」がテーマということで、夏の夜空の美しさも加わって、ちょっとロマンチックな雰囲気も。しかも最後に登場する「ほしのおとうと」がとっても幻想的で、思わず見入ってしまいます。笑いあり、発見あり、そして兄弟の絆に心があたたまる作品でした。