りんごかもしれない/ヨシタケシンスケ

ヨシタケシンスケ作の絵本『りんごかもしれない』は、2013年にブロンズ新社から出版されました。この作品は、テーブルの上に置かれたりんごを見た少年が、「もしかしたら、これは りんごじゃないのかもしれない」と想像を膨らませるところから始まります。彼の思考は、りんごが大きなサクランボの一部であったり、宇宙から落ちてきた小さな星であったりと、次々にユニークな仮説を展開していきます。この絵本は、子どもの豊かな想像力を引き出し、「当たり前」を疑う視点を楽しく教えてくれます。シンプルで温かみのあるイラストが物語を引き立て、大人も一緒に楽しめる内容となっています。

略歴

ヨシタケシンスケ(本名:吉竹伸介)さんは、1973年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。筑波大学芸術専門学群を卒業。さらに、同大学大学院芸術研究科総合造形コース修士課程を修了しています。
2013年、初のオリジナル絵本『りんごかもしれない』を発表し、独特の視点とユーモラスな表現で注目を集めました。同作はMOE絵本屋さん大賞第1位や第61回産経児童出版文化賞美術賞を受賞しています。
その後も、『ぼくのニセモノをつくるには』、『もうぬげない』『このあとどうしちゃおう』など、次々と話題作を発表。特に『もうぬげない』は、2017年にボローニャ・ラガッツィ賞特別賞を受賞するなど、国内外で高い評価を得ています。彼の作品は、日常の何気ない疑問や想像をユーモラスに描き、子どもから大人まで幅広い世代に共感されています。また、児童書の挿絵や装画、エッセイの執筆など、多岐にわたる分野で活躍しています。
2022年6月時点で、彼の絵本の累計発行部数は約600万部に達し、10か国以上で翻訳出版されています。2児の父でもあり、家族との日常から得られるインスピレーションが作品に反映されています。その独特の発想と温かみのある作風で、日本を代表する現代絵本作家としての地位を確立しています。

おすすめ対象年齢

ヨシタケシンスケ作の『りんごかもしれない』は、4歳から小学校低学年の子どもを主な対象としていますが、大人も一緒に楽しめる内容です。簡単な文章と親しみやすいイラストで、小さな子どもにもわかりやすく、想像力を広げるきっかけを提供します。一方で、「当たり前」を疑う哲学的な視点やユーモアに富んだストーリーは、年齢を問わず多くの読者に響く魅力があります。親子の読み聞かせや、個人でじっくり楽しむにも最適な一冊です。

レビュー

ヨシタケシンスケ作の『りんごかもしれない』は、読者の「当たり前」を揺さぶり、無限の想像力を引き出す魅力的な絵本だと感じました。シンプルなりんごという題材から、これほどまでに広がりのある物語を描き出す発想力に驚かされます。主人公が考える「りんごではないかもしれない」可能性の数々はユニークで、時には奇想天外。子どもだけでなく、大人にも「物事を別の視点から見てみよう」というメッセージをさりげなく伝えてくれる点が素晴らしいです。また、ヨシタケ氏の温かみのあるイラストとユーモアが、難解になりがちなテーマを親しみやすくしています。この絵本は、子どもの想像力を育むだけでなく、大人にとっても「発想の自由さ」を再確認させてくれる貴重な一冊です。

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