ひとまねこざるときいろいぼうし/H.A.レイ

『ひとまねこざるときいろいぼうし』は、H・A・レイ(ハンス・アウグスト・レイ)によって創作された絵本。1941年にアメリカで出版された原作名 Curious George は、現在も世界中で愛される児童文学のクラシックです。この作品は、いたずら好きで好奇心旺盛な小さなサル「ジョージ」と彼を連れてきた黄色い帽子をかぶった男の冒険を描いています。ジョージが引き起こすトラブルと、それを解決するユーモラスな展開は、子どもたちの笑顔を引き出します。レイ夫妻の温かみあるイラストと、シンプルながら深い物語が、時代を超えて人々に愛されています。子どもたちにとって、冒険心や創造力を育む一冊です。

略歴

H.A.レイ

H・A・レイ(Hans Augusto Rey、1898年 – 1977年)は、ドイツ・ハンブルクで生まれた絵本作家・イラストレーターです。幼少期から自然や動物への興味を持ち、動物園で過ごすことが多かったと言われています。第一次世界大戦後、ドイツでグラフィックデザインを学び、その後ブラジルに移住。1935年、同じく絵本作家である妻のマーガレット・レイと結婚し、2人で創作活動を開始しました。第二次世界大戦の混乱を避け、フランスからアメリカに渡った際に、最初の『ひとまねこざる』シリーズの原稿を持ち込んだことが出版のきっかけとなります。代表作『ひとまねこざる』は、好奇心旺盛なサル「ジョージ」の冒険を描いたもので、世界的な人気を博しています。晩年はマサチューセッツ州ケンブリッジで過ごし、創作活動を続けました。

光吉 夏弥(訳)

光吉 夏弥(みつよし なつや、1904年 – 1989年)は、日本の翻訳家、絵本研究家、舞踊評論家です。大阪府北区北野茶屋町で生まれ、1929年に慶應義塾大学経済学部を卒業しました。
1953年には、石井桃子とともに岩波書店の「岩波の子どもの本」シリーズを創設し、児童書の翻訳やバレエの入門書など、多くの著作を発表しました。代表的な翻訳作品には、『ちびくろ・さんぼ』や『ひとまねこざる』シリーズなどがあります。1990年には、『絵本図書館(世界の絵本作家たち)』で日本児童文学学会賞特別賞を受賞しました。
光吉さんの翻訳は、原作の魅力を損なわず、子どもたちに親しみやすい言葉遣いが特徴で、海外文学を日本の子どもたちに紹介し、異文化理解の架け橋となりました。生涯を通じて文学の普及に尽力し、その功績は現在も高く評価されています。

おすすめ対象年齢

『ひとまねこざるときいろいぼうし』は、対象年齢がおよそ3歳から8歳の子ども向けとされています。シンプルな文章と親しみやすいイラストが、小さな子どもにも楽しめる内容となっており、読み聞かせに適しています。また、ストーリーの展開が豊かであるため、年齢が上がるにつれて自分で読む楽しさも味わえる作品です。好奇心や冒険心にあふれた内容は、幅広い年齢層に喜ばれています。

レビュー

『ひとまねこざるときいろいぼうし』は、時代を超えて多くの人々に愛される理由がよくわかる作品です。主人公のジョージが好奇心のままに冒険し、その中でトラブルや喜びを経験する姿は、子どもたちの心に強く共感を与えます。イラストもユーモラスで、ジョージの表情や仕草が豊かに描かれており、物語をさらに引き立てています。また、黄色い帽子の男との関係性は、子どもと大人の信頼や温かさを感じさせ、家族で楽しめる内容です。私自身、この作品を読むことで冒険の楽しさや困難を乗り越える勇気の大切さを再認識しました。世代を問わず、多くの人におすすめしたい一冊です。

『ひとまねこざる』は、ハンス・アウグスト・レイとマーグレット・レイの夫妻による絵本のシリーズですが、ハンス・レイの死後、この作品を原案にした『おさるのジョージ』シリーズがヴァイパー・インタラクティヴ(C. Becker、D. Fakkel、M. Jensen、S. SanGiacomo、C. Witte、C. Yu)によって1998年より制作され、挿絵はヴァイパーや、マーサ・ウェストン(Martha Weston)が担当しました。レイ夫妻原作の作品も『おさるのジョージ』として紹介されることがあります。

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