アン・グットマン作、ゲオルグ・ハレンスレーベン絵による『リサとガスパール ゆうえんちへいく』は、フランス発の大人気絵本シリーズの一作です。フランス語の原作名は “Gaspard et Lisa à la fête foraine” で、2013年にフランスで初めて発行されました。同年に日本語版も出版されています。
この作品では、ガスパールが空想の中で遊園地を訪れる姿が描かれます。想像力豊かに描かれるガスパールの冒険には、観覧車やお化け屋敷といった遊園地ならではのエピソードが詰まっています。ゲオルグ・ハレンスレーベンの温かみのあるイラストが物語を引き立て、子どもたちの想像力を広げる一冊です。親子で楽しめる物語として、多くの読者に愛されています。
略歴
アン・グットマン
アン・グットマン(Anne Gutman)は、1970年にフランス・パリで生まれた絵本作家です。小説家であった父親の影響を受け、幼少期から創作活動に興味を持ちました。デザイナーとして出版社で勤務していた際、画家のゲオルグ・ハレンスレーベンと出会い、結婚しました。夫の助言を受けて作家活動を本格化し、彼と共に絵本制作を開始しました。主に文章と装丁を担当し、1999年に「リサとガスパール」シリーズを発表しました。このシリーズは世界的なベストセラーとなり、続いてコアラの女の子を主人公とした「ペネロペ」シリーズも手がけました。「ペネロペ」シリーズは『うっかりペネロペ』としてアニメ化され、日本でも高い人気を博しています。アン・グットマンの独特の文体と感動的なストーリーテリングで、多くの読者に愛されています。彼女の作品は、世界中で翻訳され、多くの子どもたちに読み聞かせされています。
ゲオルク・ハレンスレーベン(絵)
ゲオルク・ハレンスレーベン(Georg Hallensleben)は、1958年にドイツのヴッパータルで生まれた絵本画家です。 幼少期から水彩画に親しみ、高校卒業後に絵本の挿絵の仕事を始めました。 その後、パリでデザイナーとして活動していたアン・グットマンと出会い、結婚。以降はアンと共に絵本制作を行い、主にイラストを担当しています。 代表作として、架空の動物を主人公にした「リサとガスパール」シリーズや、コアラの女の子が主人公の「ペネロペ」シリーズがあり、これらの作品は世界中で愛されています。
石津 ちひろ(訳)
石津ちひろ(いしづ ちひろ)は、1953年に愛媛県で生まれた詩人、絵本作家、翻訳家です。 早稲田大学文学部仏文科を卒業後、3年間フランスに滞在し、その後、絵本作家や翻訳家として活動を開始しました。 自身の作品としては、『なぞなぞのたび』(絵:荒井良二、フレーベル館)でボローニャ児童図書展絵本賞を受賞し、『あしたうちにねこがくるの』(絵:ささめやゆき、講談社)で日本絵本賞を受賞しています。 また、詩集『あしたのあたしはあたらしいあたし』(理論社)で三越左千夫少年詩賞を受賞するなど、多方面で活躍しています。 翻訳家としては、「リサとガスパール」シリーズ(ブロンズ新社)など、多くの作品を手がけています。
おすすめ対象年齢
『リサとガスパール ゆうえんちへいく』の対象年齢は、3歳から6歳程度の幼児から小学校低学年までが最適です。物語のシンプルさと、ガスパールのユーモラスな空想が、小さな子どもにも分かりやすく、共感を呼びます。また、鮮やかな色彩と温かみのあるイラストが、子どもたちの興味を引き付け、読み聞かせや一緒に楽しむのにぴったりの作品です。
レビュー
『リサとガスパール ゆうえんちへいく』は、子どもの空想力の豊かさを見事に描いた作品だと感じました。特にガスパールの空想の中で遊園地の冒険が展開される点は、幼い頃の無限の想像力を思い出させてくれます。ゲオルグ・ハレンスレーベンの柔らかく温かみのある絵は、物語の世界観を一層魅力的なものにしています。また、ガスパールの空想にリサが巻き込まれるという微笑ましい構図は、兄弟や友達との関係を思わせ、親近感を覚えます。この絵本は、親子の読み聞かせに最適で、読み終えた後に空想の世界について語り合う時間も楽しめることでしょう。大人も子どもも笑顔になる素敵な作品だと思います。