グラファロ もりでいちばんつよいのは?/ジュリア・ドナルドソン

『グラファロ もりでいちばんつよいのは?』は、ジュリア・ドナルドソンによって書かれ、アクセル・シェフラーがイラストを担当した絵本です。この作品は、1999年にイギリスで初めて出版され、日本語版は2001年に出版されました。
賢いネズミが森で出会う恐ろしい(ふりをする)怪物「グラファロ」との知恵比べを描いたユーモアあふれる物語です。小さなネズミが自分より強い動物たちを避けるため、「グラファロ」という架空の怪物の存在を語り、その後に本当にグラファロが登場するという意外な展開に、子どもたちは夢中になります。読みやすいリズムと繰り返しの多いフレーズが子どもたちを引き込み、暗い森の冒険と機転をきかせるネズミの物語を一層引き立てています。

略歴

ジュリア・ドナルドソン

ジュリア・ドナルドソン(Julia Donaldson, 1948年生まれ)は、イギリスの著名な児童文学作家、詩人、劇作家です。彼女は約200冊もの本を出版しており、その多くは子どもたちに愛される絵本です。特に「グラファロ」シリーズは、ユーモアとリズミカルな言葉遣いで世界中の読者に親しまれています。彼女はロンドンで生まれ、ケンブリッジ大学でフランス語と演劇を学びました。キャリアの初期には、子ども向けのテレビ番組の脚本や楽曲制作を手掛けていました。彼女の作品は、想像力豊かなストーリーと韻を踏んだ軽快な文章が特徴で、多くの作品がアクセル・シェフラー(Axel Scheffler)のイラストで彩られています。ジュリアはまた、2011年から2013年までイギリスの児童文学の発展を支援する「チルドレンズ・ローレート」に任命され、子どもの読書促進や学校教育への貢献に力を注ぎました。

アクセル・シェフラー(絵)

アクセル・シェフラーは、1957年にドイツのハンブルクで生まれたイラストレーターです。ミュンヘン大学で美術史を学んだ後、1982年にイギリスへ移住し、バース大学でグラフィックデザインを専攻しました。彼はジュリア・ドナルドソンとの共作で知られ、特に『グラファロ―もりでいちばんつよいのは?』の挿絵で高い評価を受けています。シェフラーの独特なスタイルは、鮮やかな色彩とユーモラスなキャラクター描写が特徴で、子どもから大人まで幅広い読者に親しまれています。彼の作品は世界中で翻訳・出版され、多くの賞を受賞しています。現在もロンドンを拠点に活動を続けています。

久山 太市(訳)

グラファロ―もりでいちばんつよいのは?』や『グラファロのおじょうちゃん』の日本語翻訳者である久山太市さん。また、久山太市さんは他にもハンス・ウィルヘルム作『ずーっとずっとだいすきだよ』『ぼくたちまたなかよしさ!』、アンソニー・ブラウン作『うちのママってすてきなの』などの英米の絵本や物語の翻訳も手がけておられます。

おすすめ対象年齢

3歳から8歳向け。読み聞かせや、自分で読む練習としても楽しめる内容です。

レビュー

『グラファロ』はユーモラスでテンポの良い言葉選びと、子どもたちが真剣に夢中になれるストーリー展開がとても魅力的です。特に、賢いネズミが自分よりも大きな動物たちを次々とやり過ごすシーンや、予想外に本物のグラファロが登場する場面は、子どもたちを驚かせたり笑わせたりする絶妙なタイミングがあり、読んでいる大人も一緒に楽しむことができます。アクセル・シェフラーのユーモラスでカラフルなイラストも、グラファロという怪物の可愛らしさと怖さを見事に描き出しています。親子で笑いながら読み進められる、何度も読み返したくなる一冊です。
ジュリア・ドナルドソンは『グラファロ』の成功について「最初はどれほど愛されるか想像もつかなかった」と語っています。この物語はもともと中国の伝統的な物語からインスピレーションを得たものの、構想を進める中で、面白く賢いネズミと架空の怪物グラファロのキャラクターが生まれたそうです。彼女は「子どもたちが想像力をふくらませ、勇気と知恵の力を感じてくれることが一番の喜び」と述べ、親子で楽しむ機会を提供できることを心から嬉しく思っているそうです。

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