『おおきなかぼちゃ』は、エリカ・シルバーマン作、S.D.シンドラー絵、おびかゆうこ訳による絵本で、2011年に日本で発行されました。原作の英語タイトルは『Big Pumpkin』で、1992年にアメリカで出版されています。物語は、ハロウィンのパンプキンパイを作るために魔女が育てた大きなかぼちゃを収穫しようとするが、彼女一人ではびくともしません。そこへ幽霊、吸血鬼、ミイラ男、そして最後に小さなこうもりが現れ、皆で協力してかぼちゃを引き抜くという展開です。この作品は、ロシア民話『おおきなかぶ』を彷彿とさせるリズミカルなテキストと、ユーモラスなイラストが特徴で、ハロウィンの季節に繰り返し楽しめる絵本として評価されています。
略歴
エリカ・シルバーマン
エリカ・シルバーマン(Erica Silverman)は、アメリカを拠点とする児童文学作家であり、多くの子ども向け絵本や児童書を執筆しています。彼女は図書館司書としての経験を活かし、子どもたちに親しみやすい物語を生み出すことに情熱を注いでいます。その作品は、リズミカルな文章やユーモラスなキャラクター描写が特徴で、子どもたちだけでなく親からも高く評価されています。代表作のひとつである『おおきなかぼちゃ』(原題:Big Pumpkin)は、1992年にアメリカで出版されたハロウィンをテーマにした絵本です。物語は、魔女が大きなかぼちゃを収穫しようとするが一人では引き抜けず、幽霊や吸血鬼、小さなこうもりなどが力を合わせて協力するという内容です。協力の大切さを伝えながら、ハロウィンの雰囲気を楽しく味わえる一冊です。
また、彼女のもう一つの代表的な作品である『カウガール・ケイトとココア』シリーズ(原題:Cowgirl Kate and Cocoa)は、カウガールのケイトと彼女の馬ココアとの友情を描いています。このシリーズは、2006年に初心者読者向けの優れた児童書に贈られるテオドア・スース・ガイゼル名誉賞を受賞し、高い評価を得ました。
エリカ・シルバーマンは、学校や図書館での読み聞かせイベントにも積極的に参加しており、子どもの読書推進活動にも貢献しています。その温かみのある物語と魅力的なキャラクターは、読書の楽しさを子どもたちに伝え、多くの家族に愛されています。
S.D.シンドラー(絵)
S.D.シンドラー(S.D. Schindler)は、アメリカのフィラデルフィアを拠点に活動する著名なイラストレーターで、これまでに100冊以上の児童書や絵本の挿絵を手掛けています。その作品は、生き生きとしたキャラクター描写と細部まで丁寧に描かれたイラストが特徴で、多くの読者に愛されています。さらに、彼がイラストを担当した作品には、『おおきなかぼちゃ』や『うごいちゃ だめ!』などがあります。
シンドラーのイラストは、教育的でありながらユーモアと温かさに満ちており、読み聞かせや家庭での読書の時間をより豊かなものにしています。また、彼の作品はただ美しいだけでなく、子どもたちの想像力を刺激する工夫が随所に見られます。長年にわたり児童文学界に貢献してきたシンドラーは、読者の心に深く刻まれる作品を生み出し続けています。
おびかゆうこ(訳)
おびかゆうこ(小比賀優子)は、日本の翻訳家で、絵本や児童文学の翻訳を中心に活動しています。東京生まれで、国際基督教大学語学科を卒業後、出版社勤務やドイツ留学を経て翻訳家としてのキャリアをスタートさせました。その豊かな語学力と文学への情熱が、数々の翻訳作品に表れています。
おびかゆうこが翻訳を手がけた代表作『おおきなかぼちゃ』。この作品では、リズミカルでユーモアに富んだ原文のニュアンスを見事に日本語に再現し、魔女や幽霊、吸血鬼といったキャラクターたちを魅力的に描き出しました。日本の読者にハロウィン文化を楽しく伝えるとともに、協力の大切さという普遍的なテーマも届けています。
他の翻訳作品には、『かあさんふくろう』や『クリスティーナとおおきなはこ』といった絵本があり、いずれも細やかな言葉選びと詩的な表現で原作の魅力を最大限に引き出しています。さらに、児童文学では『かわいいゴキブリの女の子メイベルのぼうけん』や『ミミとまいごの赤ちゃんドラゴン』といった作品を手がけ、多様なジャンルで活躍しています。
おびかゆうこは、翻訳家としての高い技術と感性で、原作の文化や情感を尊重しつつ、日本の読者に親しみやすい作品を提供しています。その作品は、多くの子どもたちや家庭で愛されており、彼女の翻訳が作品を通じて読者の心に届ける感動は、これからも広がり続けるでしょう。
おすすめ対象年齢
この絵本は、3歳から6歳の幼児を主な対象としています。リズミカルな文章と親しみやすいキャラクターが登場し、読み聞かせにも適しています。また、ハロウィンの雰囲気を楽しめる内容となっており、季節の行事に合わせて読むのもおすすめです。
レビュー
『おおきなかぼちゃ』は、ハロウィンの要素を取り入れながら、協力の大切さを描いた心温まる作品です。魔女や幽霊、吸血鬼など一見怖そうなキャラクターたちが、ユーモラスに描かれており、子どもたちも親しみを感じられるでしょう。特に、最後に小さなこうもりが知恵を出し、皆で力を合わせてかぼちゃを収穫する場面は、子どもたちに協力の大切さを伝える良い機会となります。イラストも細部まで丁寧に描かれており、ページをめくるたびに新たな発見があります。ハロウィンの季節に親子で楽しめる一冊としておすすめです。
日本語版はないのかなぁ