
エリック・ヒル作の絵本『コロちゃんの おさんぽ』は、1980年にイギリスで発行された「Spot Goes for a Walk」を翻訳したものです。シリーズの主人公、子犬のコロちゃんが散歩中に新しい発見をする可愛らしい物語で、仕掛けがたくさん詰まった絵本です。特にフラップをめくると物語が進行するインタラクティブな構造が子どもたちに大人気。エリック・ヒルのやわらかいイラストとシンプルな文章が、初めて絵本に触れる幼い子どもにもぴったりの作品です。
略歴
エリック・ヒル
エリック・ヒル(Eric Hill、1927年 – 2014年)さんは、イギリス出身の絵本作家・イラストレーターで、特に仕掛け絵本のパイオニアとして知られています。ロンドンで生まれ、16歳で学校を卒業後、印刷工場で働き始め、その後広告業界に進出しました。広告業界での経験が彼のデザインやストーリーテリングの基礎を築き、シンプルで分かりやすいスタイルを確立するきっかけとなりました。1976年、彼の息子クリストファーのために描いた絵がきっかけで、子犬「コロちゃん(Spot)」が誕生しました。1980年に出版された『コロちゃんはどこ?』(Where’s Spot?)は、フラップ仕掛けを取り入れた革新的な作品として大成功を収め、世界中で親しまれるシリーズとなりました。エリック・ヒルはその後も数々のコロちゃんシリーズを執筆し、2014年に86歳で逝去するまで、子どもたちに愛される作品を生み続けました。
まつかわ まゆみ(翻訳)
まつかわ まゆみ(松川 真弓)さんは、英米の絵本や物語の翻訳家として活躍しています。 代表的な訳書には、エリック・ヒル作の『コロちゃんはどこ?』や、ジョン・バーニンガム作の『ねえ、どれがいい?』、ハリエット・ジィーフェルト作の『アンナの赤いオーバー』など多くの作品を手がけています。
彼女の翻訳は、原作の魅力を日本の読者に伝えることに定評があり、子どもから大人まで幅広い層に親しまれています。 特に、エリック・ヒルの「コロちゃん」シリーズや、ジョン・バーニンガムの作品など、仕掛け絵本やユーモラスな作品の翻訳で知られています。 その訳文は、原作の雰囲気を損なうことなく、日本語として自然で読みやすいものとなっており、多くの読者から高い評価を受けています。
おすすめ対象年齢
『コロちゃんの おさんぽ』は、3歳から5歳の幼児を対象にした絵本です。シンプルな文章とカラフルなイラスト、そしてフラップをめくる仕掛けが、小さな子どもたちの好奇心を刺激し、手を動かしながら物語に参加できる楽しさを提供します。特に、言葉を覚え始めた子どもたちや、自分で本をめくりたい時期の幼児に最適で、親子で読むのにもぴったりです。
レビュー
『コロちゃんの おさんぽ』は、幼児向けの絵本として非常に完成度が高いと感じます。特にフラップをめくる仕掛けは、単なる読み聞かせを超えて子どもの「発見する喜び」を引き出す工夫が凝らされています。シンプルなストーリーながら、コロちゃんの愛らしさや散歩中の小さな冒険が、幼い読者にとって大きな感動や笑顔をもたらすことでしょう。また、エリック・ヒルの優しいタッチのイラストは、大人にもどこか懐かしい気持ちを与えてくれます。初めて絵本を手に取る子どもから絵本に親しむ家庭まで、幅広くおすすめしたい一冊です。