ぼくはびっくりマーク/エイミー・クラウス・ローゼンタール

『ぼくはびっくりマーク』は、エイミー・クラウス・ローゼンタール作、トム・リヒテンヘルド絵、大友剛訳による絵本です。原作はアメリカで2013年に出版された『Exclamation Mark』で、日本では2023年にひさかたチャイルド社から刊行されました。物語は、びっくりマーク(!)が自分の個性に悩みながらも、クエスチョンマーク(?)との出会いを通じて自分らしさに気づく成長を描いています。「みんなと同じじゃなくていい」というメッセージを、ユーモアあふれる絵とストーリーで伝える作品です。

略歴

エイミー・クラウス・ローゼンタール

エイミー・クラウス・ローゼンタール(Amy Krouse Rosenthal、1965年生まれ)は、アメリカの作家、映画製作者、ラジオ番組のホストとして知られています。彼女は子ども向けから大人向けまで幅広いジャンルで執筆し、その温かみとユーモアに満ちた作品は多くの人々に愛されています。
彼女の代表的な児童書には、『おかあさんはね』、『スプーンくん』や『アヒルかも! ウサギかも!』などがあり、これらの作品は日本でも翻訳・出版されています。 また、彼女の作品の多くはニューヨーク・タイムズのベストセラーリストにランクインし、その独特の視点と創造性で高く評価されており、『ぼくはびっくりマーク』で2015年のカリフォルニア・ヤングリーダー・メダルを受賞しています。
2017年、彼女は51歳で卵巣癌により逝去しました。闘病中、彼女はニューヨーク・タイムズにエッセイ「You May Want to Marry My Husband」を寄稿し、大きな話題を呼びました。 このエッセイは、彼女の夫への深い愛情と別れのメッセージとして、多くの読者の心を打ちました。
エイミー・クラウス・ローゼンタールの作品は、彼女の死後も多くの人々に読み継がれ、そのメッセージは今なお多くの人々の心に響いています。

トム・リヒテンヘルド

トム・リヒテンヘルド(Tom Lichtenheld)は、アメリカのイラストレーター、作家として知られています。ウィスコンシン大学を卒業後、ミネアポリスの広告会社に16年間勤務し、広告業界で数々の賞を受賞しました。その後、フリーランスとなり、絵本制作に取り組む時間を持つようになりました。2000年には、初の絵本『Everything I Know about Pirates』を発表し、絵本作家としてのキャリアをスタートさせました。
彼の作品は、ユーモアと創造性に富んでおり、子どもたちだけでなく大人にも愛されています。邦訳された作品には、『アヒルかも! ウサギかも!』や『おやすみ、はたらくくるまたち』、『よるのきかんしゃ、ゆめのきしゃ』などがあります。これらの作品は、日本でも多くの読者に親しまれています。
また、エイミー・クラウス・ローゼンタールとの共作も多く、『おかあさんはね』や『ぼくはびっくりマーク』など、心温まる作品を数多く手掛けています。彼のイラストは、物語の魅力を引き立てるだけでなく、読者の想像力を刺激する独特のスタイルで描かれています。
トム・リヒテンヘルドの作品は、その温かみのあるイラストとユーモラスなストーリー展開で、多くの賞賛を受けています。彼の創作活動は、今後も多くの人々に感動と笑顔を届けることでしょう。

大友 剛

大友剛(おおとも たけし)は、日本の翻訳家、ミュージシャン、マジシャンです。マジックや音楽、絵本の楽しさとメッセージを全国の子どもたちに届ける活動を行っています。また、保育者や図書館司書、教育者向けの公演やセミナーも精力的に開催し、国内外で幅広く活躍しています。翻訳作品には『えがないえほん』(早川書房)、『ねこのピート だいすきなしろいくつ』(ひさかたチャイルド)、『カラーモンスター きもちは なにいろ?』(永岡書店)など多数があります。彼の活動は、子どもたちの創造力や表現力を育むことに寄与しています。

おすすめ対象年齢

『ぼくはびっくりマーク』は、4歳から6歳の子どもたちを主な対象としています。シンプルな絵と言葉で構成されており、文字や記号に興味を持ち始めた幼児期の子どもたちに適しています。また、自分と他者の違いに気づき始める年齢の子どもたちに、「みんなと同じじゃなくていい」という自己肯定感を育むメッセージを伝える内容となっています。

レビュー

『ぼくはびっくりマーク』は、シンプルなストーリーと愛らしい絵で深いメッセージを届けてくれる素晴らしい絵本だと感じました。この本は、記号というユニークなキャラクター設定を通じて、誰もが感じる「自分らしさ」への葛藤をユーモラスかつ温かく描いています。特に、びっくりマークがクエスチョンマークとの出会いをきっかけに、自分の特別な役割に気づく場面は感動的です。また、絵本全体を通して、読み手が「他者との違いを楽しむこと」や「個性を認めること」の大切さを自然に学べるのが魅力です。文字や記号の持つ可能性を見事に引き出した内容は、言葉やシンボルに興味を持ち始めた子どもたちにぴったりだと思います。大人が読んでも、あらためて自分の「!」を見つけたくなる、そんな一冊でした。

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