ジャックとまめのき/イギリス民話

いもとようこさんが文と絵を手がけた絵本『ジャックとまめのき』は、イギリスの民話を基にした作品で、2012年に金の星社から出版されました。この絵本は、貧しい少年ジャックが牛を魔法の豆と交換し、その豆から天まで伸びる大きな木が生え、冒険が始まる物語です。いもとさんの温かみのあるイラストとわかりやすい文章で、子どもから大人まで楽しめる一冊となっています。

イギリス民話

イギリスの民話は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの伝統的な物語や伝説で、地域文化や自然環境を反映しています。善悪や知恵をテーマにした教訓的な内容が多く、妖精や魔法使いなどの超自然的要素が特徴です。代表的な物語には「3匹の子ぶた」「ジャックと豆の木」「ロビン・フッド」などがあり、これらは児童文学や映画にも影響を与えています。イギリス民話は、伝統を伝えると同時に、現代でも世界中で愛されています。

略歴

いもとようこ

いもとようこさん(本名:井本蓉子)は、1944年兵庫県生まれの絵本作家・挿絵画家です。金沢美術工芸大学油絵科を卒業後、小学校教員を経て絵本の世界に入りました。独自の貼り絵技法で温かみのある作品を多数手がけ、出版された絵本は400冊以上にのぼります。主な受賞歴として、1985年度『ねこの絵本』、1986年度『そばのはなさいたひ』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞しています。ちぎった和紙の貼り絵に着色する独自の技法で、柔らかく温かな表情の人物や動物を描き、創作童話や日本の昔話、世界の名作など多くの絵本を手がけ国際的にも高く評価されています。

おすすめ対象年齢

出版社のおすすめ対象年齢は3歳から6歳頃となっています。しかし、物語の内容や表現の豊かさから、幅広い年齢層の読者に親しまれています。特に、初めてこの物語に触れる子どもや、昔読んだことがある大人にも再び楽しんでいただける内容です。

レビュー

『ジャックとまめのき』はいもとようこさんの温かみのある絵が、イギリス民話の魅力を最大限に引き出しています。特にジャックの冒険心や、鬼の迫力が表情豊かに描かれており、ページをめくるたびに引き込まれました。物語のテーマである「勇気」と「知恵」が、わかりやすく子どもたちに伝わる点も素晴らしいです。また、いもとさん特有の柔らかな色使いやキャラクターの愛らしさが、親子で楽しむ読書時間に最適だと感じました。読み聞かせにぴったりな構成で、特に未就学児や小学校低学年の子どもたちが夢中になることでしょう。一方で、大人も童心に帰り、幼い頃の冒険心を思い出せる、懐かしさを感じる作品でもあります。全世代におすすめしたい一冊です。

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