安西水丸さんの絵本『がたん ごとん がたん ごとん』は、1987年に初版が発行されたシンプルながらもリズミカルで味わい深い作品です。この絵本は、列車の音「がたん ごとん」を繰り返しながら、あかちゃんになじみのグッズやかわいい動物たちが乗り込んでくるという内容です。
ページをめくるたびに、ねこやねずみなどが次々と登場し、「がたん ごとん」というリズムとともに列車に乗り込んで行きます。この擬音とイラストのコンビネーションが幼い子どもにもわかりやすく、耳に心地よい響きが楽しめるため、読み聞かせにもぴったりです。安西さんの温かみのあるイラストは、シンプルながらもどこか懐かしく、子どもたちが興味を引くような魅力に溢れています。
内容がシンプルなので、乳幼児から小さな子どもまで楽しめる一冊として親しまれています。また、同じフレーズが繰り返されることで、小さな子どもも安心して楽しむことができる構成となっており、絵本の初めての体験にぴったりな作品です。
安西 水丸の略歴
安西 水丸(あんざい みずまる)は、1942年に東京で生まれ、2014年に亡くなるまで、イラストレーターや絵本作家、エッセイストとして活躍しました。彼の作品は独特のシンプルで温かみのあるスタイルが特徴で、現代日本のイラスト界において重要な役割を果たしました。
安西さんは、日本大学芸術学部を卒業後、広告代理店に勤務しましたが、後にフリーのイラストレーターとして活動を始めました。1980年代には村上春樹との親交が深まり、彼の小説の装画や挿絵を担当するなどして大きな注目を集めました。『風の歌を聴け』や『1973年のピンボール』などの初期作品のビジュアルを手がけ、村上作品の世界観をより豊かに伝えることに貢献しました。
また、安西さんは絵本作家としても多くの作品を発表しています。その中でも『がたん ごとん がたん ごとん』や『おでんさむらい』シリーズなどは、特に子どもたちに親しまれました。シンプルな構図と鮮やかな色彩で描かれた絵本は、幼い読者にも分かりやすく、親しみやすいものでした。
エッセイ執筆やコラム連載、雑誌への寄稿なども積極的に行い、彼独特のユーモアや感性が光る文章も多くのファンに支持されました。また、イラストレーターとして広告や装丁、雑誌の表紙など幅広い分野で活躍しました。彼のイラストは、シンプルながらもどこか懐かしさを感じさせる作風で、日常の何気ない瞬間をユーモラスに切り取る才能がありました。安西水丸さんの作品は、シンプルで温かみがありながらも、どこか味わい深い世界観を持っています。
おすすめ対象年齢
『がたん ごとん がたん ごとん』のおすすめ対象年齢は、0歳から3歳くらいの乳幼児におすすめです。この絵本は、リズミカルな擬音とシンプルでかわいらしいイラストが特徴で、赤ちゃんでも興味を持ちやすく、繰り返しのフレーズが安心感を与えます。
ストーリーも非常にシンプルなので、初めての「読み聞かせ」や、絵本に触れる入門書としてもぴったりです。また、色彩や構図も見やすいため、親子で一緒に楽しみながら読むことができる作品です。
レビュー
安西水丸さんの『がたん ごとん がたん ごとん』は、シンプルで温かみがあり、心が和む素敵な絵本だと思います。読み聞かせるとき、ページをめくるごとに「がたん ごとん」というリズムが繰り返され、まるで列車の心地よい揺れを感じさせてくれるのがとても魅力的です。このリズム感の良さは、小さな子どもにとっても楽しいだけでなく、安心感を与えてくれる効果もあるように感じます。
また、登場するグッズや動物たちも愛らしくて、絵自体も余白を上手く活かしたシンプルな構図が、かえって豊かな想像力を引き出してくれるように思います。このシンプルさが、安西さんの絵の持つ「やさしさ」や「懐かしさ」をより引き立てているのではないでしょうか。絵本初心者の赤ちゃんから、少し大きな子どもまで、親子で一緒に楽しめる名作だと思います。