
松谷みよ子さんの絵本『いないいないばあ』は、日本の子どもたちに長年愛されている名作絵本です。この絵本は、1967年に初版が発行され、以来50年以上にわたり多くの親子に読み聞かせられてきました。『いないいないばあ』は、赤ちゃんが喜ぶ「いないいないばあ」という遊びをテーマにしており、温かみのあるシンプルな言葉と、瀬川康男さんの素朴で可愛らしいイラストが特徴です。ページをめくるごとに、さまざまな動物たちが「いないいない…ばあ!」と顔を出し、赤ちゃんの笑顔を引き出します。この本は、視覚や聴覚を通じて赤ちゃんの興味を引きつけ、親子のコミュニケーションのきっかけを提供します。また、「いないいないばあ」の遊びは赤ちゃんの認知発達にも良いとされ、安心感や信頼感を育む効果も期待されています。松谷みよ子さんの温かい言葉と瀬川康男さんの柔らかい絵が組み合わさることで、シンプルでありながら心に残る作品に仕上がっています。
略歴
松谷 みよ子(文)
松谷みよ子(まつたにみよこ、1926年-2015年)は、日本の児童文学作家であり、絵本や童話を通じて多くの子どもたちに親しまれました。東京出身で、戦後の混乱期に文学活動を開始しました。代表作『いないいないばあ』は1967年に発表され、シンプルで温かみのある内容が世代を超えて愛されています。松谷は、戦争や貧困をテーマにした児童文学作品も多く執筆し、子どもたちの成長や心の豊かさに寄り添う作品を多数残しました。また、社会問題に関心を持ち、平和や福祉活動にも尽力しました。その業績により、数々の文学賞を受賞しています。松谷さんの代表作には、ベストセラー絵本『いないいないばあ』や、児童向けの小説『龍の子太郎』、『モモちゃんとアカネちゃんの本』シリーズ、そして民話を基にした『松谷みよ子むかしむかし』シリーズなどがあります。幅広いジャンルで作品を残しています。彼女の作品は、子どもたちに楽しみと学びを与えつつ、彼らが成長する過程で社会や人間の本質について考える機会を提供しています。
瀬川 康男(絵)
瀬川康男(せがわ やすお、1932年 – 2010年、愛知県生まれ)さんは、日本の画家・絵本作家・装丁家です。1950年代より画家として活動を始め、詩人・谷川俊太郎さんらと詩画集を制作。1967年に松谷みよ子との共作『いいおかお』で絵本作家として注目を集めました。『ふしぎなともだち』など幻想的かつ大胆な画風で知られ、数々の名作を世に送り出しました。2002年、絵本作家としての功績が評価され「巖谷小波文芸賞」を受賞(情報元:絵本ナビ、国立国会図書館)。自然と生命への深いまなざしをもつ作風は、今なお多くの読者に愛されています。
おすすめ対象年齢
『いないいないばあ』は、0歳から2歳頃の乳幼児を主なおすすめ対象年齢としています。この絵本は、シンプルで繰り返しの多い言葉や、動物たちが「いないいないばあ」をして驚かせる楽しいイラストが特徴で、まだ言葉が理解できない赤ちゃんでも楽しめる内容になっています。親子で読み聞かせしやすく、赤ちゃんが安心感や親しみを感じられる絵本として人気があります。
レビュー
『いないいないばあ』は、シンプルでありながらとても魅力的な作品だと思います。ページをめくるたびに、動物たちが「いないいない…ばあ!」と現れる瞬間は、小さな子どもたちにとってまるでマジックのようです。この本は赤ちゃんの視線や興味をしっかりと引きつけ、親子の温かな触れ合いを自然に引き出してくれるところが素晴らしいですね。また、瀬川康男さんの柔らかで素朴なイラストも見逃せません。優しい色合いと、赤ちゃんにも分かりやすいシンプルなデザインがページを開くたびに安心感を与えてくれます。「いないいないばあ」という言葉遊びの楽しさを通じて、赤ちゃんが周囲の人とのつながりを感じられるのも良いポイントです。読んであげる大人も、子どもが笑う様子を見て心が温まる、そんな心地よい作品です。