『ぶんぶんむしとぞう』は、マーガレット・ワイズ・ブラウン作、クレメント・ハード絵、中川李枝子訳の絵本で、大小の対比をテーマにしています。物語は、大きなぶんぶんむしや小さなぶんぶんむし、大きなちょうや小さなちょうなど、さまざまな大きさの生き物が登場し、リズミカルな文章と美しいイラストで展開されます。
略歴
マーガレット・ワイズ・ブラウン
マーガレット・ワイズ・ブラウン(Margaret Wise Brown, 1910-1952)は、アメリカを代表する児童文学作家で、多くの子どもたちに愛される絵本を生み出しました。特に『おやすみなさい おつきさま』(Goodnight Moon)は、彼女の代表作として知られています。ニューヨーク生まれのブラウンは、幼少期から動物や自然への関心を持ち、のちにホリンズ大学で教育を学びました。後、教師として働きながら執筆活動を開始。彼女の作品は、シンプルでリズミカルな言葉遣いと、子どもの感性を捉えた内容が特徴です。若くして急逝しましたが、その作品は今もなお、多くの読者に親しまれています。
クレメント・ハード(絵)
クレメント・ハード(Clement G. Hurd、1908年 – 1988年)は、アメリカの絵本作家・イラストレーターです。イェール大学で美術を学んだ後、パリで絵画を修めました。帰国後、作家マーガレット・ワイズ・ブラウンと出会い、『ぼくにげちゃうよ』(1942年)や『おやすみなさい おつきさま』(1947年)など、多くの絵本で共作しました。彼のシンプルで温かみのあるイラストは、物語の雰囲気を引き立て、多くの読者に親しまれています。
なかがわ りえこ(訳)
なかがわりえこ(中川 李枝子、1935年生まれ)は、日本を代表する児童文学作家であり、絵本作家としても広く知られています。北海道札幌市に生まれ、幼少期から自然に親しむ環境で育ちました。東京都立高等保母学院(現・都立高等保育学院)卒業し、保育士として働き始めました。この経験が、後の創作活動に大きな影響を与えています。
保育士時代に子どもたちへの読み聞かせや遊びの中で得た知識を活かし、1962年に『いやいやえん』で作家デビュー。1963年には、イラストを実妹の画家・山脇百合子(旧姓・大村)が担当した『ぐりとぐら』を発表し、広く支持を集めました。特に「ぐりとぐら」シリーズは、親しみやすい文章と温かみのある物語が特徴で、世代を超えて愛される作品となっています。
その後も数々の絵本や児童書を手がけ、子どもの目線に寄り添った物語を紡ぎ続けています。『そらいろのたね』『ももいろのきりん』など、多くの作品を発表しました。また、1988年公開のスタジオジブリの映画『となりのトトロ』では、オープニングテーマ「さんぽ」の作詞を手がけました。作品を通じて、自然や友情、日常の小さな喜びを大切にするメッセージを伝え、多くの人々に影響を与えてきました。
おすすめ対象年齢
この絵本は、2歳から5歳頃の幼児を対象としています。シンプルな文章と親しみやすいイラストが、小さな子どもたちの興味を引きつけ、読み聞かせにも最適です。
レビュー
本作は、大小の対比を通じて、子どもたちに物の大きさや多様性について考えさせるきっかけを提供します。リズミカルな文章と繰り返しの表現が、子どもたちの言語感覚を育む助けとなり、ハードのイラストも物語の雰囲気を引き立てています。親子で一緒に楽しめる一冊としておすすめです。