いぬ おことわり!/マーガレット・ワイズ・ブラウン

『いぬ おことわり!』は、マーガレット・ワイズ・ブラウンが文を、H.A.レイが絵を手がけ、ふくもとゆみこさんが翻訳した絵本です。原作の英語タイトルは『Don’t Frighten the Lion』で、1942年にアメリカで出版されました。日本語版は、1997年に偕成社から出版されました。この絵本は中央児童福祉審議会の推薦文化財(1997年)や特別推薦文化財(1998年)に選定され、日本図書館協会の選定図書(1997年)にもなっています。物語は、動物園の近くに住む小さな犬が、飼い主のおじさんと一緒に動物園に行こうとしますが、「いぬおことわり!」の看板があり入れません。そこで、おじさんは犬を女の子に変装させて入場を試みます。この絵本は、ユーモラスなストーリーと温かみのあるイラストで、子どもたちに工夫や発想の大切さを伝えます。

略歴

マーガレット・ワイズ・ブラウン

マーガレット・ワイズ・ブラウン(Margaret Wise Brown, 1910-1952)は、アメリカを代表する児童文学作家で、多くの子どもたちに愛される絵本を生み出しました。特に『おやすみなさい おつきさま』(Goodnight Moon)は、彼女の代表作として知られています。ニューヨーク生まれのブラウンは、幼少期から動物や自然への関心を持ち、のちにホリンズ大学で教育を学びました。後、教師として働きながら執筆活動を開始。彼女の作品は、シンプルでリズミカルな言葉遣いと、子どもの感性を捉えた内容が特徴です。若くして急逝しましたが、その作品は今もなお、多くの読者に親しまれています。

H.A.レイ(絵)

H・A・レイ(Hans Augusto Rey、1898年 – 1977年)は、ドイツ・ハンブルクで生まれた絵本作家・イラストレーターです。幼少期から自然や動物への興味を持ち、動物園で過ごすことが多かったと言われています。第一次世界大戦後、ドイツでグラフィックデザインを学び、その後ブラジルに移住。1935年、同じく絵本作家である妻のマーガレット・レイと結婚し、2人で創作活動を開始しました。第二次世界大戦の混乱を避け、フランスからアメリカに渡った際に、最初の『ひとまねこざる』シリーズの原稿を持ち込んだことが出版のきっかけとなります。代表作『ひとまねこざる』は、好奇心旺盛なサル「ジョージ」の冒険を描いたもので、世界的な人気を博しています。晩年はマサチューセッツ州ケンブリッジで過ごし、創作活動を続けました。

福本 友美子(訳)

福本友美子(ふくもと ゆみこ、1951年東京都生まれ)さんは、慶應義塾大学文学部図書館・情報学科を卒業後、調布市立図書館で児童サービスに携わりました。1980年からフリーランスで児童書の翻訳や批評、編集に取り組み、英語圏を中心とした児童文学の翻訳に定評があります。代表作に『おすわりくまちゃん』や『おやすみくまちゃん』、『リディアのガーデニング』などがあります。また、国際子ども図書館の活動やケニアでの図書館設立プロジェクトにも貢献し、子どもの読書普及や翻訳を通じて幅広く活動を続けています。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、3歳から6歳の幼児から就学前の子どもたちに適しています。シンプルな文章と親しみやすいイラストが特徴で、読み聞かせにも最適です。物語を通じて、子どもたちは創意工夫や問題解決の方法を学ぶことができます。

レビュー

『いぬ おことわり!』は、動物園に入りたくても入れない小さな犬と、その飼い主のおじさんが工夫を凝らして問題を解決しようとする物語です。マーガレット・ワイズ・ブラウンのユーモラスなストーリーと、H.A.レイの魅力的なイラストが組み合わさり、子どもたちに創意工夫や問題解決の大切さを伝えます。読み聞かせを通じて、子どもたちは柔軟な発想やチャレンジ精神を育むことができるでしょう。