
『きこえる きこえる なつのおと』は、マーガレット・ワイズ・ブラウンが文を、レナード・ワイズガードが絵を手掛けた絵本です。原作名は『The Summer Noisy Book』で、1951年にアメリカで発行されました。日本語版は吉上恭太さんによる翻訳で、1998年に小峰書店から出版されています。この絵本は、夏のさまざまな音を通じて、季節の豊かさや自然の美しさを子どもたちに伝える作品です。鮮やかなイラストとリズミカルな文章が特徴で、読者の五感を刺激します。
略歴
マーガレット・ワイズ・ブラウン
マーガレット・ワイズ・ブラウン(Margaret Wise Brown, 1910-1952)は、アメリカを代表する児童文学作家で、多くの子どもたちに愛される絵本を生み出しました。特に『おやすみなさい おつきさま』(Goodnight Moon)は、彼女の代表作として知られています。ニューヨーク生まれのブラウンは、幼少期から動物や自然への関心を持ち、のちにホリンズ大学で教育を学びました。後、教師として働きながら執筆活動を開始。彼女の作品は、シンプルでリズミカルな言葉遣いと、子どもの感性を捉えた内容が特徴です。若くして急逝しましたが、その作品は今もなお、多くの読者に親しまれています。
レナード・ワイスガード(絵)
レナード・ワイスガード(Leonard Weisgard、1916年 – 2000年)は、アメリカの絵本作家・イラストレーターです。1947年に『The Little Island』でコールデコット賞を受賞し、その後も多くの作品で高い評価を得ました。彼のイラストは、独特の色彩感覚とデザイン性が特徴で、絵本の世界に新しい風を吹き込みました。マーガレット・ワイズ・ブラウンとのコンビで多くの作品を手がけ、その中でも『たいせつなこと』は代表作の一つとされています。
よしがみ きょうた(訳)
吉上恭太(よしがみきょうた)は、1957年東京都生まれの翻訳家、作家、ミュージシャンです。週刊誌や児童書の編集者を経て、児童書の翻訳や編集、ライター活動を行っています。主な訳書に『ちゃんとたべなさい』(小峰書店)、『ひとりぼっちのかいぶつといしのうさぎ』『かしこいさかなはかんがえた』『時間をまきもどせ!』(徳間書店)などがあります。また、音楽活動も積極的に行い、ファーストアルバム『On Shinobazu Book Street』をリリースし、セカンドアルバムの制作にも取り組んでいます。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、3歳から6歳の幼児期のお子さんに適しています。鮮やかなイラストとリズミカルな文章が、子どもたちの感性を豊かに育みます。また、親子で一緒に読むことで、夏の自然や音に対する興味を深めるきっかけとなるでしょう。
レビュー
この絵本を読んで、夏の音がこんなにも多彩で豊かであることに改めて気づかされました。マーガレット・ワイズ・ブラウンの詩的な文章とレナード・ワイズガードの色彩豊かなイラストが見事に融合し、読者を夏の世界へと誘います。吉上恭太さんの翻訳も、原作の魅力を損なうことなく、日本の子どもたちに伝わるよう工夫されています。親子で一緒に読むことで、夏の自然や音に対する新たな発見があり、共感を呼ぶ作品だと感じました。