もうねんね/松谷 みよ子

『もうねんね』は、文を松谷みよ子さん、絵を瀬川康男さんが手がけ、1968年に童心社から刊行されました。「ねんね、ねんね」と優しく語りかけるようなリズムで、赤ちゃんが次々とねんねしていく様子が描かれています。母親の愛情に満ちた言葉と、瀬川康男さんの温かく柔らかい絵があいまって、読む人の心まで穏やかにしてくれる一冊です。ことばの繰り返しやリズムが心地よく、赤ちゃんの読み聞かせにぴったり。長く愛されている名作絵本のひとつです。

略歴

松谷 みよ子(文)

松谷みよ子(まつたにみよこ、1926年-2015年)は、日本の児童文学作家であり、絵本や童話を通じて多くの子どもたちに親しまれました。東京出身で、戦後の混乱期に文学活動を開始しました。代表作『いないいないばあ』は1967年に発表され、シンプルで温かみのある内容が世代を超えて愛されています。松谷は、戦争や貧困をテーマにした児童文学作品も多く執筆し、子どもたちの成長や心の豊かさに寄り添う作品を多数残しました。また、社会問題に関心を持ち、平和や福祉活動にも尽力しました。その業績により、数々の文学賞を受賞しています。松谷さんの代表作には、ベストセラー絵本『いないいないばあ』や、児童向けの小説『龍の子太郎』、『モモちゃんとアカネちゃんの本』シリーズ、そして民話を基にした『松谷みよ子むかしむかし』シリーズなどがあります。幅広いジャンルで作品を残しています。彼女の作品は、子どもたちに楽しみと学びを与えつつ、彼らが成長する過程で社会や人間の本質について考える機会を提供しています。

瀬川 康男(絵)

瀬川康男(せがわ やすお、1932年 – 2010年、愛知県生まれ)さんは、日本の画家・絵本作家・装丁家です。1950年代より画家として活動を始め、詩人・谷川俊太郎さんらと詩画集を制作。1967年に松谷みよ子との共作『いいおかお』で絵本作家として注目を集めました。『ふしぎなともだち』など幻想的かつ大胆な画風で知られ、数々の名作を世に送り出しました。2002年、絵本作家としての功績が評価され「巖谷小波文芸賞」を受賞(情報元:絵本ナビ、国立国会図書館)。自然と生命への深いまなざしをもつ作風は、今なお多くの読者に愛されています。

おすすめ対象年齢

『もうねんね』は、0歳から2歳ごろの乳幼児を対象とした絵本です。特に寝かしつけの時間や、初めての読み聞かせにも適しており、赤ちゃんが安心して聞けるシンプルでやさしい語り口と、穏やかな色使いの絵が魅力です。言葉のリズムに自然と耳を傾け、親子のふれあいの時間を大切にできる一冊です。

レビュー

この絵本を読んでまず感じたのは、「やさしさに包まれている」という安心感です。繰り返される「ねんね」の言葉が、まるで子守唄のように心に響き、小さな子どもだけでなく、大人の心までも穏やかにしてくれます。瀬川康男さんの絵は、素朴でありながらどこか詩的で、松谷みよ子のあたたかな文とぴったり合っています。赤ちゃんの寝かしつけ時に読むと、子どもも自然とまぶたが重くなっていくような、魔法のような絵本です。親子のやすらぎの時間にぜひ取り入れたい一冊です。

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