
刀根里衣さん作の絵本『ぴっぽのたび』は、孤独なカエルのぴっぽが、小さな羊と共に夢を探す旅に出る物語です。旅の途中で出会う花や金魚、朝顔などの生き物たちが、それぞれの願いを語り、ぴっぽはその想いに触れながら成長していきます。しかし、旅を続ける中でぴっぽは再び孤独を感じ、羊の存在の大切さに気づきます。この作品は、2013年にボローニャ国際絵本原画展で国際イラストレーション賞を受賞し、2014年にスペインで出版された後、同年にNHK出版から日本語版が刊行されました。
略歴
刀根 里衣
刀根里衣(とね さとえ)さんは、1984年に福井県敦賀市で生まれた絵本作家です。京都精華大学デザイン学部ビジュアルコミュニケーション学科を卒業。その後、イギリスへ語学留学中に「ボローニャ児童書ブックフェア」を訪れたことがきっかけで絵本作家を志し、2011年にイタリアの出版社から『なんにもできなかったとり』でデビューしました。翌年にはミラノに拠点を移し、2012年と2013年にボローニャ国際絵本原画展に連続入選、2013年には国際イラストレーション賞を受賞しています。受賞作を絵本化した『ぴっぽのたび』は12か国で出版され、高い評価を受けています。現在もミラノを拠点に創作活動を続けています。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は3歳から5歳以上とされています。しかし、特定の年齢層に限定されず、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめる絵本といえます。
レビュー
『ぴっぽのたび』は、繊細な筆致と幻想的な世界観で、読む人の心を優しく包み込む作品です。ぴっぽと羊の旅を通じて、他者の願いや想いに触れ、自分自身の孤独や大切な存在に気づく過程が丁寧に描かれています。特に、旅の中で出会う生き物たちの切なる願いが、読者の共感を呼び起こし、心に深く響きます。また、四季折々の美しい情景描写が、物語に彩りを添え、読後には温かな余韻が残ります。