
にしまきかやこさんの絵本『いえでをした てるてるぼうず』は、2019年にこぐま社より発行されました。物語は、晴天をもたらしたにもかかわらず忘れられてしまった てるてる坊主が、「こんなおうちにいたくない!」と家出を決意するところから始まります。冒険の途中でトンビに襲われたり、山から転げ落ちたりと困難に直面しますが、最終的にはくまの子と出会い、新たな居場所を見つける心温まるストーリーです。にしまきさん特有のクレヨンのような柔らかな線と明るい色彩が、子どもの感性に寄り添い、読者を優しく包み込みます。この作品は、忘れられることの寂しさや新たな出会いの喜びを描き、子どもたちに大切な感情を伝えてくれる一冊です。
略歴
にしまきかやこ
にしまきかやこ(西巻 茅子)さんは、1939年、東京都世田谷区に生まれました。東京芸術大学工芸科を卒業後、リトグラフやエッチングを学び、日本版画協会展で新人賞や奨励賞を受賞しています。その後、絵本作家として活動を始め、『わたしのワンピース』や『ちいさなきいろいかさ』など、多くの作品を手掛けました。彼女の作品は、リトグラフや刺繍など多彩な技法を用いた温かみのある絵柄が特徴です。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、3歳から5歳程度が適しています。物語の展開や登場キャラクターの感情表現が、幼児期の子どもたちの理解力や共感力を育む内容となっており、親子での読み聞かせにも最適です。また、てるてる坊主の冒険を通じて、子どもたちが自分の気持ちを表現することの大切さを学ぶことができます。
レビュー
この絵本を読んで、てるてる坊主の純粋な気持ちや冒険心に心を打たれました。忘れられたことへの怒りや寂しさ、そして新たな出会いによる喜びが、子どもたちの心に響くように描かれています。にしまきかやこさんの温かみのあるイラストが、物語の世界観をより一層引き立てており、読後には心がほっこりと温まる感覚を覚えました。親子で一緒に読むことで、子どもたちの感情理解や共感力を育む素晴らしい絵本だと感じます。