レオ・レオニ作・絵、谷川俊太郎訳の絵本『6わのからす』は、1988年にアメリカで出版された『Six Crows』の日本語版で、2009年にあすなろ書房から刊行されました。物語は、麦畑を巡って6羽のカラスと農夫が争いを繰り広げる中、知恵あるフクロウが仲裁に入り、対話の大切さを伝えるという内容です。レオニのコラージュ技法による鮮やかな絵と、谷川俊太郎の詩的な翻訳が魅力的な一冊です。
略歴
レオ・レオニ
レオ・レオニ(Leo Lionni, 1910-1999)は、オランダのアムステルダムで生まれた絵本作家であり、デザイナー、芸術家です。幼少期をオランダやイタリア、アメリカで過ごし、大学では経済学を学びましたが、後にアートの道へ進みました。アメリカに移住し、広告業界で成功を収める一方、モダンアートにも深い関心を寄せました。50歳を過ぎてから絵本作家としての道が開かれます。彼の作品は、美しいコラージュや温かいストーリーが特徴で、『スイミー』『フレデリック』『アレクサンダとぜんまいねずみ』などが代表作です。子どもたちに創造力や多様性の大切さを伝える名作を多く残しました。
谷川俊太郎(訳)
谷川俊太郎(たにかわ しゅんたろう, 1931年-2024年)さんは、東京生まれの詩人、翻訳家、絵本作家です。1952年に詩集『二十億光年の孤独』でデビューし、その独創的で感受性豊かな詩風が注目を集めました。以来、詩だけでなく、絵本や脚本、翻訳など多岐にわたる分野で多才な才能と日本文学への多大な貢献を物語っています。
絵本分野では、レオ・レオニの『スイミー』や『フレデリック』の翻訳で知られ、その簡潔で美しい日本語訳が作品に新たな命を吹き込みました。また、絵本『もこ もこもこ』や詩画集『ことばあそびうた』など、自身のオリジナル作品でも多くの読者に親しまれています。
受賞歴も多く、読売文学賞(1983年)、野間児童文芸賞(1988年)、朝日賞(1996年)など、国内外で高く評価されました。晩年には国際的な詩の賞も受賞し、日本文学の世界的な地位向上にも寄与しました。詩を通じて日常の深さを表現し続け、2024年に永眠されました。その作品と影響は、今も多くの人々に愛されています。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、3歳から小学生低学年までとされています。シンプルなストーリーながら、対話の重要性や争いの無意味さといった深いテーマを含んでおり、親子での読み聞かせに適しています。
レビュー
『6わのからす』は、子ども向けの絵本でありながら、大人にも深い気づきを与えてくれる作品です。争いに対して知恵と対話で解決を図るフクロウの姿勢は、現代社会におけるコミュニケーションの重要性を再認識させてくれます。レオニの美しいコラージュと谷川俊太郎さんの翻訳が融合し、読む者の心に響く一冊となっています。親子で一緒に読み、感想を共有することで、より深い理解と絆が生まれることでしょう。