わにさんどきっ はいしゃさんどきっ/五味 太郎

『わにさんどきっ はいしゃさんどきっ』は、五味太郎さんが作・絵を手がけ、1984年に偕成社から刊行された絵本です。​虫歯に悩むワニさんと、その治療を担当する歯医者さんが登場し、互いに「どきっ」「こわいなあ」と同じ言葉を発しながらも、それぞれの立場で異なる心理を描いています。​同じセリフを繰り返すことで、子どもたちにも理解しやすく、ユーモラスな展開が魅力です。​シンプルな構成ながら、共感や緊張感を巧みに表現しており、読み聞かせにも最適な一冊です。

略歴

五味 太郎

五味太郎(ごみたろう)さんは、1945年、東京都に生まれた日本を代表する絵本作家であり、グラフィックデザイナーでもあります。東京藝術大学美術学部工芸科を卒業後、広告デザインやグラフィックの仕事に携わり、その後絵本の制作を始めました。1977年に初の絵本『みんなうんち』を発表し、ユニークな視点とシンプルで大胆なデザインが評価され、多くの読者に愛される作家となりました。
代表作には『きんぎょが にげた』『かずのえほん』『たべたの だあれ』などがあり、その多くが世界中で翻訳・出版されています。五味さんの作品は、明確でわかりやすいイラストと、遊び心あふれる構成が特徴で、幼児から大人まで幅広い層に支持されています。また、創作の傍らでエッセイ執筆やワークショップも行い、子どもたちとの対話を通じて創作活動を続けています。彼の絵本は、視覚的な楽しさとともに子どもの創造力を育むことを目的とし、多くの作品が日本国内外でロングセラーとなっています。

おすすめ対象年齢

この絵本は、3歳頃からの幼児を対象としています。​繰り返しのセリフや表情豊かなイラストが特徴で、幼い子どもたちにも親しみやすい内容です。​また、歯医者さんへの不安や虫歯の痛みといったテーマをユーモラスに描いているため、歯磨きや健康への関心を育むきっかけにもなります。

レビュー

この絵本は、シンプルな言葉の繰り返しと表情豊かなイラストで、子どもたちの心をつかみます。​ワニさんと歯医者さんが互いに「どきっ」と感じる場面では、立場は違えど共通の感情があることを教えてくれます。​また、治療後の「ほっ」という安堵の表情には、共感と安心感が伝わってきます。​読み聞かせを通じて、子どもたちが歯医者さんへの不安を和らげ、歯の健康について考えるきっかけになる素晴らしい絵本です。

タイトルとURLをコピーしました