ドイツの絵本作家ヤーノシュ(Janosch)による『ぼくがげんきにしてあげる』(原題:Ich mach dich gesund, sagte der Bär)は、1980年にドイツで発行されました。この絵本は、クマとトラという親友同士の温かい絆を描いています。ある日、トラが病気になり、心配したクマが「ぼくが元気にしてあげる」と励ましながら看病します。ユーモアあふれる会話と優しさに満ちた物語は、病気や困難を乗り越える力や友情の大切さを伝えます。ヤーノシュ特有の柔らかなイラストと心温まるストーリーは、子どもから大人まで幅広い読者に親しまれています。家族で読みたい一冊です。1996年に徳間書店から日本語版が刊行されました。
ヤーノシュの略歴
ヤーノシュ(本名:ホルスト・エッカート)は、1931年にドイツ領ヒンデンブルク(現在のポーランドのザブジェ)で生まれました。彼はドイツの国民的絵本作家として知られ、イラストレーター、小説家としても活躍しています。
ヤーノシュは1960年に初めての絵本『うまのヴァレクのはなし』を出版し、それ以来、320作品以上を発表し、40以上の言語に翻訳されています。彼の作品は、子どもたちに愛されるだけでなく、大人にも深いメッセージを伝えるものが多いです。彼の代表作には、『パナマってすてきだな』や『ぼくがげんきにしてあげる』『おばけリンゴ』などがあります。
ヤーノシュの人生は波乱万丈であり、彼の作品にはその経験が色濃く反映されています。彼の作品を通じて、人生の喜びや悲しみ、友情や愛情について学ぶことができます。
おすすめ対象年齢
ヤーノシュの『ぼくがげんきにしてあげる』の対象年齢は、一般的に4歳から6歳の幼児から小学校低学年くらいのお子さまにおすすめされています。この絵本は、友だちとの関係や病気のときの優しさといたわりの心を描いており、子どもにとって身近で理解しやすいテーマです。
レビュー
『ぼくがげんきにしてあげる』は、病気で弱ってしまう友だちを思いやり、支えようとする姿が描かれた心温まる作品です。くまがとらに対して献身的に世話をする様子や、時にはとらがわがままになる場面も、実際の子どもたちが体験する感情に近く、共感を呼びます。
ヤーノシュのイラストは温かみがあり、シンプルながらも表情豊かで、キャラクターたちの気持ちがよく伝わってきます。くまの姿に、子どもたちは友情や優しさの価値を感じ取るでしょう。特に、小さなときに味わう「病気のときの甘えたい気持ち」や「誰かがそばにいてくれる安心感」といったものが自然に表現されていて、子どもから大人まで心に響く作品だと感じます。