『うんちっち』は、フランスの絵本作家ステファニー・ブレイクによる作品で、原題は『Caca boudin』です。2002年にフランスで初版が刊行され、日本では2004年にPHP研究所から翻訳出版されました。
物語は、うさぎの子どもが「うんちっち」という言葉しか話さないことから始まります。親や周囲の問いかけにも「うんちっち」としか答えず、ある日、オオカミに「食べてもいいかい?」と尋ねられても同じ返答をします。その結果、オオカミに飲み込まれてしまいますが、オオカミ自身が「うんちっち」しか言えなくなり、体調を崩します。最終的に、うさぎのお医者さんである父親が息子を救出し、息子は普通の言葉を話すようになりますが、翌日には新たな言葉を口にします。
この絵本は、子どもたちが好むユーモアとシンプルなストーリー展開で、多くの読者に親しまれています。また、トイレトレーニングの一環として「うんち」という言葉を自然に受け入れられる工夫もされています。
ステファニー・ブレイクの略歴
ステファニー・ブレイク(Stephanie Blake)はフランス在住の絵本作家であり、ユーモアに富んだ物語と大胆でシンプルなイラストで広く知られています。彼女は主に幼児向けの絵本を手がけ、「うんちっち(原題:Caca boudin)」をはじめとする作品で多くの読者に愛されています。アメリカ出身のブレイクは、フランスに移住してから創作活動を本格的に開始しました。彼女の作品は、家庭や学校での子どもの日常をユーモアを交えて描き、親子で楽しめる内容が特徴です。また、カラフルで簡潔なイラストは子どもたちに親しみやすく、特に「うさぎのサイモン」シリーズは大人気を博しています。ブレイクの絵本は世界中で翻訳・出版され、子どもの感情や成長をユーモラスに表現するその作風は、世代を問わず共感を呼び続けています。
おすすめ対象年齢
ステファニー・ブレイクの絵本『うんちっち』の対象年齢は、一般的に2歳から5歳程度の幼児から就学前の子どもに適しています。この作品は、ユーモラスでシンプルな繰り返しの言葉遊びが多く、幼い子どもたちが共感しやすい内容となっています。登場するうさぎのキャラクターが「うんちっち」と言い続ける様子や、オオカミとのやりとりに笑いを誘われるため、特に言葉を覚え始めた幼児が楽しみながら読み進められます。
レビュー
ステファニー・ブレイクの『うんちっち』は、シンプルながら非常にユーモアに溢れた作品で、子どもたちに大人気の絵本です。この作品では、言葉遊びの要素が全面に出ていて、「うんちっち」という言葉を繰り返すことによって、子どもが笑ったり、興味を引かれたりします。大人にとっては少し驚きのテーマですが、子どもたちはこの「禁じられた言葉」的な響きに強く惹かれ、夢中になって読み進める姿が印象的です。
また、この絵本は、単に笑わせるだけでなく、物語の展開を通じて、子どもに対して少しの教訓を伝えています。オオカミに食べられるシーンでは少しのスリルも加わり、話の流れに緩急がついて飽きさせません。そして最終的にはうさぎが助かることで、安堵感をもって終わるという、バランスの取れた構成が魅力です。絵もシンプルで見やすく、色彩もはっきりしているため、小さな子どもでも視覚的に楽しめます。
さらに、親子で一緒に読むことで、子どもと大人が「うんちっち」という言葉を楽しむ瞬間が生まれるのも、この絵本の醍醐味でしょう。笑いを交えた読み聞かせを通じて、親子のコミュニケーションが深まるのもこの絵本ならではの魅力です。