
『おやすみなさい おつきさま』は、マーガレット・ワイズ・ブラウン作、クレメント・ハード絵、せた ていじ訳による絵本です。原作名は『Goodnight Moon』で、1947年にアメリカで発行されました。日本語版は、1979年に評論社から出版されました。物語は、緑色の大きな部屋で眠りにつく子うさぎが、部屋の中のすべてのものに「おやすみなさい」と語りかける様子を描いています。その穏やかな語り口と温かみのあるイラストレーションは、読者に安らぎを与え、長年にわたり世界中で愛され続けています。
略歴
マーガレット・ワイズ・ブラウン
マーガレット・ワイズ・ブラウン(Margaret Wise Brown, 1910-1952)は、アメリカを代表する児童文学作家で、多くの子どもたちに愛される絵本を生み出しました。特に『おやすみなさい おつきさま』(Goodnight Moon)は、彼女の代表作として知られています。ニューヨーク生まれのブラウンは、幼少期から動物や自然への関心を持ち、のちにホリンズ大学で教育を学びました。後、教師として働きながら執筆活動を開始。彼女の作品は、シンプルでリズミカルな言葉遣いと、子どもの感性を捉えた内容が特徴です。若くして急逝しましたが、その作品は今もなお、多くの読者に親しまれています。
クレメント・ハード(絵)
クレメント・ハード(Clement G. Hurd、1908年 – 1988年)は、アメリカの絵本作家・イラストレーターです。イェール大学で美術を学んだ後、パリで絵画を修めました。帰国後、作家マーガレット・ワイズ・ブラウンと出会い、『ぼくにげちゃうよ』(1942年)や『おやすみなさい おつきさま』(1947年)など、多くの絵本で共作しました。彼のシンプルで温かみのあるイラストは、物語の雰囲気を引き立て、多くの読者に親しまれています。
せた ていじ(翻訳)
せたていじ(瀬田貞二、1916年 – 1979年)は、東京市本郷区(現:東京都文京区)湯島に生まれました。東京帝国大学文学部国文科を卒業後、平凡社に入社し、『児童百科事典』全24巻の企画編集に携わり、1956年完成。その後、児童文学の翻訳や評論、創作に専念し、J・R・R・トールキンの『指輪物語』やC・S・ルイスの『ナルニア国ものがたり』など、多くの名作を日本に紹介しました。その他、日本の民話の再話もあり、『かさじぞう』『ふるやのもり』などはロングセラーで多くの人々に愛され続けています。また、自宅に「瀬田文庫」を開き、地域の子どもたちに読書の場を提供するなど、亡くなる直前まで児童文学の普及に尽力しました。
おすすめ対象年齢
この絵本は、主に3歳から5歳の幼児を対象としています。寝かしつけの習慣をサポートするために親子で読むのにぴったりの絵本で、落ち着いたリズムと言葉の繰り返しが幼い子どもに安心感を与えるとともに、読み聞かせにも最適です。
レビュー
『おやすみなさい おつきさま』は、静かな夜の雰囲気と温かみのあるイラストが印象的な絵本です。子うさぎが部屋の中の一つ一つに「おやすみなさい」と語りかける様子は、読者にも穏やかな気持ちをもたらします。特に、ページをめくるごとに部屋が徐々に暗くなり、月の光が際立つ演出は、子どもたちに夜の静けさと安心感を伝えてくれます。寝る前のひとときに親子で読むことで、心地よい眠りへと導いてくれるでしょう。