『うさこちゃん ひこうきにのる』は、ディック・ブルーナさんが文と絵を手がけ、いしいももこさんが翻訳した人気絵本。原題は “nijntje vliegt“。オランダでは1970年に出版され、日本語版は1982年に福音館書店から刊行されました。うさこちゃんが“パイロットのおじさん”に誘われて飛行機に乗り、高く高く森や海の上を飛びます。シンプルだけど鮮やかなブルーナカラーと、短い文章で描かれる空中散歩は、ドキドキと感動が詰まっていて、子どもの心をつかむこと間違いなし!
略歴
ディック・ブルーナ
ディック・ブルーナ(Dick Bruna、1927年〜2017年)は、オランダ・ユトレヒト生まれの絵本作家・グラフィックデザイナー。父の出版社でデザインの仕事をするかたわら、1953年ごろから絵本制作を開始。代表作は「うさこちゃん」シリーズで、世界的に知られるキャラクター「ミッフィー(nijntje)」を誕生させました。ミニマルな線と明快な色づかいで、子どもから大人まで長く愛されています。著作は50か国以上で翻訳され、総発行部数は8500万部以上にのぼります。
石井桃子(訳)
石井桃子(いしいももこ、1907 – 2008)さんは、日本の児童文学作家・翻訳家で、子どもたちに優れた海外文学を紹介することに尽力しました。東京大学文学部を卒業後、出版社で働きながら翻訳を始め、やがて児童文学の世界で活躍するようになります。彼女は翻訳の名手として知られ、アメリカやヨーロッパの名作を日本語に翻訳し、多くの子どもたちに親しまれる作品を生み出しました。特に『クマのプーさん』や「ピーターラビット」シリーズの翻訳で高い評価を得ています。また、児童書編集者としても活動し、日本初の絵本専門出版社「岩波書店の岩波こどもの本」シリーズの立ち上げに携わり、質の高い絵本の普及に貢献しました。晩年には、自らの創作活動にも力を入れ、『ノンちゃん雲に乗る』などの作品で知られています。彼女の翻訳は、原作の魅力を忠実に伝えるだけでなく、日本語の美しさを引き出し、親しみやすい表現を用いる点で評価されています。彼女の活動は、日本における児童文学の発展に大きく寄与し、現在も多くの読者に影響を与え続けています。彼女の業績は、日本と世界の子どもたちを繋ぐ架け橋として輝き続けています。
おすすめ対象年齢
おすすめは0〜4歳。飛行機に乗る“冒険”シーンが、好奇心いっぱいの小さな子どもにピッタリです。言葉は短くてリズム感があり、絵はやさしい色使い。読み聞かせにもぴったりで、初めての“空のおでかけ”に向けての気持ちを育ててくれる一冊です 。
レビュー
『うさこちゃん ひこうきにのる』は、空へのあこがれがつまった絵本です。うさこちゃんがパイロットのおじさんに空の旅に誘われて、お母さんに許可をもらってから出発する、という流れがとても丁寧に描かれていて、子どもの小さな冒険心と安心感のバランスが絶妙です。森や海、ヨットを上空から見下ろす描写は、シンプルな絵なのに広がりを感じさせてくれて、想像の羽がふわっと広がります。乗りもの好きの子はもちろん、初めての体験にワクワクしている子にもぴったり。やさしい語り口で、読んだあとに気持ちが明るくなる一冊です。