『うさこちゃんのてがみ』は、ディック・ブルーナ作・絵、オランダ語原題は De brief van Nijntje(2003年)。うさこちゃんが夏のキャンプに出かけ、そこでの楽しい体験をおうちの人にお手紙で伝える、心あたたまる物語です。小さな冒険がぎゅっと詰まっています。手紙という形で語られることで、うさこちゃんの素直な気持ちやがんばる姿がいっそう伝わり、読み手の心にもじんわり届きます。日本語版は2009年に福音館書店より刊行され、訳はまつおかきょうこさん。夏の思い出にぴったりの一冊です。
略歴
ディック・ブルーナ
ディック・ブルーナ(Dick Bruna、1927年〜2017年)は、オランダ・ユトレヒト生まれの絵本作家・グラフィックデザイナー。父の出版社でデザインの仕事をするかたわら、1953年ごろから絵本制作を開始。代表作は「うさこちゃん」シリーズで、世界的に知られるキャラクター「ミッフィー(nijntje)」を誕生させました。ミニマルな線と明快な色づかいで、子どもから大人まで長く愛されています。著作は50か国以上で翻訳され、総発行部数は8500万部以上にのぼります。
松岡 享子(訳)
松岡享子(まつおかきょうこ,1935-2022)さんは、日本の児童文学研究者、翻訳家、図書館司書です。神戸女学院大学を卒業後、ウェスタン・ミシガン大学で修士号を取得されました。帰国後は、福音館書店に勤務し、東京都立日比谷図書館で児童サービスにも携わられました。1974年には「東京子ども図書館」を設立し、児童書の普及に尽力されました。代表作に『とこちゃんはどこ』『おふろだいすき』、また、『しろいうさぎとくろいうさぎ』や「くまのパディントン」などの翻訳も手掛けられました。著作・翻訳は200冊以上にのぼり、文化功労者としても顕彰され、児童文学の発展に大きく貢献されました。
おすすめ対象年齢
読んであげるなら4歳から、自分で読む場合は小学校低学年と公式サイトから。キャンプ体験やお友だちとの日々を手紙という形で振り返る構成は、物語を理解しやすい年齢にぴったり。読み聞かせなら3歳前後の幼児にもおすすめです。
レビュー
シャキッとした「おとうさんと おかあさんへ」の手紙文体で始まるこの絵本。うさこちゃんがキャンプで体験した日常とは少し違うワクワクした時間が、手紙を通して生き生きと伝わってきます。文字だけでなく、ブルーナらしい太い線と鮮やかな色彩の絵が、まるで現場にいるような臨場感をプラス。読み終えるころには「うちもキャンプ行きたい!」という気持ちがムクムク。手紙と絵のバランスが絶妙で、手元の一冊でも十分想像力をかき立ててくれる、とても素敵なお話です。