ピムとポム しんぶんにのりたい/ミース・バウハウス

『ピムとポム しんぶんにのりたい』は、ちょっとお調子者のピムと、しっかり者のポムというふたりの猫が主人公。今回は「新聞にのりたい!」という夢を叶えるべく大奮闘!だけど、うまくいかない…それでもふたりのやりとりがユーモアたっぷりで、思わずくすっと笑ってしまいます。原作はオランダで長く愛されている作品で、絵はやさしいタッチで表情豊か。日本語版は2013年に金の星社から出版され、日笠千晶さんがリズミカルに訳しています。子どもも大人も楽しめる、ほっこり楽しい一冊です。

略歴

ミース・バウハウス

ミース・バウハウス(Mies Bouhuys, 1927–2008)はオランダの児童文学作家。1958年から10年間、新聞「Het Parool」で自身の飼い猫・ピム&ポムをモデルにした連載を発表し、長年愛される作品を提供しました。また『アンネ・フランクは昨日の話ではない』など、多くの児童書を執筆。これらの作品は数多くの短編集としてまとめられ、2004年には未発表の作品を集めた『Pim & Pom blijven vriendjes』が出版。アニメ化や映画化もされ、幅広く親しまれ続けています。

フィープ・ヴェステンドルプ(絵)

フィープ・ヴェステンドルプ(Fiep Westendorp, 1916–2004)は、オランダを代表するイラストレーター。アニエ・M.G.シュミット作品などを手がけ、その個性的で温かみのある線画で知られ、3世代にわたり人々に愛されました。1958年以降、ピムとポムのイラストを1000点以上描きました。1997年にはオランダで唯一の生涯功労イラスト賞「Oeuvre Penseel」を受賞。2003年に未公開原画が発見され、2004年に新たなピム&ポム本が発行されるなど、生前後問わずその影響力は根強く残っています。

日笠 千晶(訳)

日笠千晶(ひかさちあき)さんは、主に児童向け・小説の翻訳を手がける翻訳家。『ピムとポム』シリーズ(第1・2・3巻)を金の星社から2013年に刊行し、その自然でやさしい訳調で多くの小さな読者に親しまれています。また、NHK教育テレビで吹き替え版アニメ(『ピムとポムのちっちゃな冒険』)にも関わっており、作品への幅広い関わりが窺えます。翻訳者として、オランダ児童文化の魅力を日本の子どもたちに伝える架け橋的存在です。

おすすめ対象年齢

絵本『ピムとポム しんぶんにのりたい』は、3~5歳の幼児にぴったり。猫の好奇心や友情を通じた日常の冒険がシンプルな言葉とリズム感で綴られているので、読み聞かせにも最適です。絵と文のバランスが良く、小さな子どもでも無理なくストーリーに入り込めます。

レビュー

とにかく、ピムとポムが「しんぶんにのりたい!」とワクワクする姿に、ついつい笑顔になっちゃいました。日本語訳も自然で軽やか、まるで体験するようなリズム感があります。絵は線が優しく、ちょっとした仕草や空気感が伝わってくるのが素敵。特にピムの無邪気な目や、ポムがちゃっかり者な感じがたまりません。大人が読んでも、日常のちょっとした冒険の大切さを思い出させてくれるので、何度も開きたくなる一冊です。親子の読み聞かせにぴったり。後ろで流れるウィットも感じられて、ほっこり幸せな気分になります。