ガンピーさんのふなあそび/ジョン・バーニンガム

『ガンピーさんのふなあそび』(原作名:Mr Gumpy’s Outing)はイギリスのジョン・バーニンガム作・絵、1970年に刊行されました。ガンピーさんが手漕ぎの小船で川下りに出かけると、子どもたちや動物たちが「乗せて!」と次々に合流。「騒がないで」「ケンカしないで」などとお約束も。どんどん賑やかに!最初はみんなお行儀よくしているけれど、だんだん慣れて船は大騒ぎに。ついに転覆!でも、その後はみんなでお茶を飲んで穏やかに終わるという、ほっこり夏の一日がぎゅっと詰まった一冊。絵は淡い色鉛筆とペンで描かれ、ケイト・グリーナウェイ賞も受賞した名作。日本語版はみつよしなつやさん訳で、2020年ほるぷ出版から新版が発売されました。

略歴

ジョン・バーニンガム

ジョン・バーニンガム(John Burningham,1936‑2019)はイギリス出身の絵本作家・イラストレーター。ケイト・グリーナウェイ賞を2度受賞するなど、その独特の線と繊細な色使いで世界中にファン多数。代表作には『Mr Gumpy’s Outing』や『Granpa』などがあり、日常の中にある小さなドラマやユーモアを捉える視点が魅力です。1993年刊の『クリスマスのおくりもの』もそんな作風が光る一冊。絵本界の巨匠として、半世紀以上にわたり子どもにも大人にも愛され続けています。

光吉 夏弥(訳)

光吉夏弥(みつよし なつや,1904年 – 1989年)は、日本の翻訳家であり、児童文学や外国文学の翻訳で広く知られています。大阪府生まれ。1929年慶應義塾大学経済学部卒業。彼は特に英語圏の児童文学を日本語に翻訳することに力を注ぎ、『はなのすきなうし』や『ちびくろ・さんぼ』など、今も多くの読者に親しまれる名作を数多く紹介しました。光吉の翻訳は、原作の魅力を損なうことなく、日本語の読者に伝わりやすい表現を工夫したことで評価されています。彼の翻訳は、児童文学を通じて異文化理解を深める架け橋となり、多くの子どもたちや大人に文学の楽しさを伝え続けています。

おすすめ対象年齢

『ガンピーさんのふなあそび』は3〜6歳くらいの幼児にぴったりです。ページごとに登場する動物が増えていく展開や、ゆったりとした川の流れの情景は、言葉の少ない子でも絵を見て楽しめます。軽く語りかけながら読み聞かせれば、自然と「次は誰かな?」とワクワクできる仕掛けも◎。

レビュー

この絵本、読むとすごく穏やかな気持ちになれるんです。ガンピーさんの「誰でもウェルカム」な広い心がまず素敵で、船にどんどん仲間が増えるたびに、こっちまでニコニコ。「ちゃんとお約束守ってね」って語りかける優しさも最高。子供たちや動物たちが我慢できずに騒ぎ出して。。。でも転覆後も誰一人怒らないで、一緒にお茶を飲むラストには心がじんわり温かく。みつよしさんの訳もすごく自然で、川ののどかな午後の空気まで伝わってきます。子どもと一緒にページをめくるたび、気づけば会話が生まれて、最後は親子でくつろぎたくなる。暑い季節にぴったりの、やさしい笑いと癒しが詰まった珠玉の夏絵本です。