いろいろおふろはいり隊!/穂高 順也

『いろいろおふろはいり隊!』(作:穂高順也/絵:西村敏雄)は、2012年に教育画劇から出版されたユニークな絵本。ニンジン、ジャガイモ、タマネギの“おふろはいり隊”が、カレーやシチュー、お味噌汁などキッチンの大小お鍋をお風呂と見立ててリポート。さらにオーブンで焼かれ「日焼けサロン」とか、蒸し器が「サウナ」になったりと、野菜たちのちょっとシュールで笑える冒険が続きます。実況中継のノリも楽しく、読者も一緒に「え?今度はどんなおふろ?」とワクワクしちゃいます。西村敏雄さんの愛嬌あるタッチが、食材たちの会話や感情を生き生きと伝えていて、料理の舞台裏を面白おかしく紹介する、楽しくてちょっと不思議な一冊です

略歴

穂高 順也

穂高順也(ほたかじゅんや,1969年愛知県生まれ)は、保育専門学校を卒業後、幼稚園・保育園に勤務。その経験を活かして1999年、『さるのせんせいとへびのかんごふさん』(絵:荒井良二)で絵本作家デビューしました。以降、日本児童文芸家協会理事として、30冊を超える絵本や童話を執筆。代表作には『ぼくのえんそく』『ちゅうしゃなんかこわくない』『どろぼうだっそうだいさくせん!』『マーロンおばさんのむすこたち』などがあり、保育・教育現場での実体験をユーモアたっぷりに作品に反映しています。絵本作家として子どもに寄り添った創作を続ける一方、カルチャースクールの講師も務めています。

西村 敏雄(絵)

西村敏雄(にしむらとしお,1964年愛知県生まれ)は、東京造形大学デザイン科卒。家具やテキスタイルのデザイン仕事を経て絵本作家に転身し、第1回日本童画大賞最優秀賞を受賞。代表作に『バルバルさん』『もりのおふろ』『どうぶつサーカスはじまるよ』など多数あり、キャッチーで温かみのある絵が特徴です。『いろいろおふろはいり隊!』でも、野菜キャラたちに豊かな表情とユーモアを与え、読者をぞの世界へ引き込みます。インタビューでは「人の顔や日常のちょっとした表情にヒントを得る」と語っており、親しみのある作風の背景がうかがえます。

おすすめ対象年齢

おすすめは3〜6歳くらい。読みやすく、キッチンとお風呂を結びつけたシュールな発想に、小さい子どもでも興味津々。ニンジンたちの実況中継スタイルがリズミカルで、読み聞かせ中に子どもが一緒に「カレーお風呂、どう?」と叫び出すことも。親子での会話が広がります。

レビュー

この絵本、すっごくおもしろい!野菜たちが「おふろはいり隊」として、カレー鍋や味噌汁鍋でリポートするという発想が斬新で、お腹が空きそうでゲラゲラ笑っちゃいました。実況っぽい言い回しと西村さんのゆる可愛いイラストが相性抜群で、読み聞かせタイムが一気に盛り上がります。オーブンで日焼けサロン、蒸し器でサウナ、そしてフライ前のバッター液…って、どんどんエスカレートする展開がクセになる!調理の工程を“お風呂”に見立てるシュールな視点が子どもの興味を引きつつ、「料理っていろんな段階があるんだな」と親子で楽しめる仕掛けも◎。何度も声に出して読みたくなる、お料理とお風呂と遊び心のミックス絵本です。