『きみの行く道』は、アメリカの絵本作家ドクター・スース(Dr. Seuss)による名作で、原題は “Oh, the Places You’ll Go!”。伊藤比呂美さんが日本語に訳し、2008年に河出書房新社から出版されました。子どもから大人まで、新しい一歩を踏み出そうとする人に贈るユーモアと冒険に満ちた人生の応援絵本です。現代のマザーグースとも称されるスース博士の詩的でポップなイラストとリズムの良い言葉が、迷いながらも前進するあなたをそっと後押ししてくれます。卒業祝いなど人生の節目にプレゼントされることが多く、多世代に愛される一冊です
略歴
ドクター・スース
Dr. Seuss(本名:セオドア・スース・ガイゼル、1904年 – 1991年)は、アメリカ出身の絵本作家、イラストレーター、詩人、児童文学作家、漫画家で、多くのリズム感あふれる作品を残しました。マサチューセッツ州スプリングフィールド生まれ。ダートマス大学卒業後、オックスフォード大学に留学。彼は子どものリーディングを支援する絵本作家として活動し、韻を踏んだシンプルな言葉を使って、子どもたちに楽しく読書の世界を紹介しました。特に『キャット・イン・ザ・ハット』は、当時の退屈なリーディング教材に挑戦する作品として大成功を収め、以後、彼のユーモアと独創的なキャラクターが児童文学に新たな風を吹き込みました。彼の作品は教育的でありながら、楽しく奇想天外な内容が特徴です。
いとう ひろみ
伊藤比呂美さん(1955年生まれ)は、日本の詩人、作家、翻訳家です。東京都出身で、青山学院大学を卒業されました。1978年に詩集『草木の空』でデビューし、第16回現代詩手帖賞を受賞されています。育児エッセイ『良いおっぱい 悪いおっぱい』が話題となり、幅広い分野で執筆を続けてこられました。1997年にアメリカへ移住し、熊本と行き来しながら創作活動を続けられています。『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』では萩原朔太郎賞や紫式部文学賞を受賞されました。翻訳家としても活動されており、ドクター・スースの『キャット イン ザ ハット』を日本語訳されています。また、仏教や古典文学にも関心を持ち、関連書籍も発表されています。
おすすめ対象年齢
対象は主に 5歳以上〜大人まで。リズム感ある言葉と色鮮やかな絵で、幼児でも楽しめますが、哲学的な含みや深い人生観は中学生以上、大人にこそグッと響きます。卒業・就職・新生活などの人生の転機に手に取ると、読み返すたびに新しい発見があり、幅広い年代で繰り返し味わえる一冊です 。
レビュー
子どもに読み聞かせながら、「これは私自身に向けられた言葉だな」と感じました。スース博士の語りかけは優しく、それでいて本質的。人生はうまくいく日ばかりじゃないけれど、それでも前に進む勇気をくれるこの本は、親としても、自分自身への応援歌のように感じます。子どもが成長して旅立つ日、この本をそっと手渡したくなる。そんな一冊です。明るさと深さを兼ね備えた、不思議なパワーを持つ絵本だと思います。