『お月さまってどんなあじ?』は、文・絵ともにマイケル・グレイニエツ作、訳は いずみちほこ さん。原題は 「Wie schmeckt der Mond?」、1993年にスイスの Bohem Press から初版が発行されました。お月さまの味を知りたくて、カメを先頭にゾウ、キリン、シマウマ、ライオン、キツネ、サル……と動物たちが次々に背中に乗って高く積み上がる“動物タワー”を作ります。でも月は逃げ続け、最後に登場した小さなネズミが奇跡を起こすんです。やさしい水彩画のイラストと、助け合いの大切さを伝えるやわらかな物語がほんわか心に残る一冊です。
略歴
マイケル・グレイニエツ
マイケル・グレイニエツ(Michael Grejniec)は、1955年ポーランド生まれの絵本作家・イラストレーター。グラフィックアートやデザインを学び、現在はドイツとポーランドを拠点に活動。柔らかな水彩タッチとシンプルで奥深いストーリーが特徴で、子どもたちだけでなく大人の心にも響く作品を多数生み出しています。代表作『お月さまってどんなあじ?』は世界30カ国以上で翻訳され、世代を問わず愛されるロングセラーとなっています
いずみ ちほこ(訳)
いずみちほこさんは、ドイツ語圏の絵本や児童文学の翻訳を多数手がける日本の翻訳者。特に、原作の香りやリズムを大切にした自然で読みやすい訳が評価されており、『金のりんご』でもそのセンスが光ります。徳間書店からの翻訳出版により、幅広い年齢層にスイスの絵本文化を伝える役割を果たしました。
おすすめ対象年齢
対象年齢は2歳〜小学校低学年くらい。文章が短めでリズムがあり、絵も優しいタッチなので、読み聞かせにぴったり。協力する楽しさや、みんなでひとつの目標に向かうことの大切さを自然に伝えてくれるので、親子で読んでも楽しい絵本です。
レビュー
読んでいて、思わず笑顔になる絵本です。最初は「届くわけないよ~」と思って見ていた動物たちが、少しずつ仲間を増やして、協力していく姿がとても微笑ましい!しかも最後に登場するのが、まさかのネズミってところが最高です。小さな力でも、大きな夢をかなえることができるっていうメッセージが、やさしく心に届きます。淡くてまるいお月さまの描写も美しく、夜の読み聞かせにもぴったり。「がんばってよかったね」と思える、じんわり優しい絵本です。