やさいだいすきだワニ/タンム・ニュウ

『やさいだいすきだワニ』(2020年、おむすび舎)は、台湾出身のタンム・ニュウさんが文と絵を手がけ、中川ひろたかさんが訳されたほっこり食育絵本です。お百姓さんに育てられた赤ちゃんワニが、畑でできた野菜をもりもり食べて元気いっぱいに育つお話。「夢の中でみどりのスーパーマンになって大活躍」する姿に、子どもたちもワクワク。台湾で2003年に出版されて以来22刷と長く愛され、台湾信誼児童文学賞イラスト賞受賞という実績もある人気作です。鮮やかな田園風景と野菜たちがやさしい曲線で描かれ、読後には心がじんわり温かくなるような1冊です。

略歴

タンム・ニュウ

タンム・ニュウ(Tanm Mu Nhu)さんは1966年、台湾台北生まれ。台湾国立芸術専門学校で彫刻を学び、その後イラストレーションや絵本制作を中心に活動しています。代表作には『果物大好きな牛』『建築家ジャック』『トムの服装屋』など多数。台湾信誼児童文学賞、金鼎賞(児童・少年図書推薦作品)、さらにイタリアのボローニャ国際絵本原画展にも入選するなど、国内外で高い評価を受けています。『やさいだいすきだワニ』も、台湾で長年読み継がれるロングセラーとなり、絵本アートとしても注目されています

中川 ひろたか(訳)

中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。

おすすめ対象年齢

対象年齢は3歳~小学校低学年くらいがぴったり。読み聞かせにもうってつけです。カラフルなイラストと親しみやすい展開が、小さな子どもの興味を引きつけるし、「野菜好きになってほしい」という親心にも響く“食育絵本”としておすすめです。

レビュー

読んでいて心がじんわり温かくなる、優しい絵本でした。赤ちゃんワニが野菜をアムアムと食べてすくすく育つ様子は、ほのぼのしていて可愛らしい。背景に広がる田園風景や野菜の色合いが淡く、でも力強く感じられて、ページをめくるたびにやさしい空気が広がります。野菜嫌いの子でも、この絵本なら「食べてみようかな?」と思えるかも。ワニとお百姓さんの絆や、夢の中でスーパーワニになって活躍するファンタジー要素もあり、読む人を自然と笑顔にしてくれます。親子で一緒に「野菜っていいね!」を共有できる、温かく元気な一冊でした。