とっても いいひ/ケビン・ヘンクス

ケビン・ヘンクス作・絵、石井睦美さん訳の『とっても いいひ』は、ちょっとついていない一日が、やさしく前向きに変わっていくお話。原題は”A Good Day”アメリカで2007年にGreenwillow Booksから刊行されました。日本語版は2008年、BL出版より発売。小鳥が羽をなくし、こりすが大事なナッツを落とし…と、不運が続く朝。でも物語が進むにつれて、みんなに小さな「いいこと」が起き、最後にはハッピーな気持ちに。シンプルな言葉とやさしい色づかいの絵が、読む人の心にそっと寄り添ってくれます。

略歴

ケビン・ヘンクス

ケビン・ヘンクス(Kevin Henkes)は1960年、アメリカ・ウィスコンシン州生まれ。作家・イラストレーターとして数多くの絵本や児童文学を手がけています。『リリーのぼうし』や『ふつうに学校へいくふつうの日』など、子どもたちの気持ちに寄り添う繊細な作風が特徴。2005年に『Kitten’s First Full Moon』でコールデコット賞を受賞。静かで優しいストーリーテリングと温かみあるイラストで、世界中にファンの多い作家です。

石井 睦美(訳)

石井睦美(1957年神奈川県生まれ)は、フェリス女学院大学文学部を卒業後、出版社勤務を経て前川康男氏に師事し創作活動を開始しました。童話『五月のはじめ、日曜日の朝』で毎日新聞小さな童話大賞と新美南吉児童文学賞を受賞。さらに、小説『パスカルの恋』(筆名駒井れん)で朝日新人文学賞、児童書『皿と紙ひこうき』で日本児童文学者協会賞を受賞するなど、多彩な受賞歴があります。翻訳家としても活躍し、サラ・マクメナミーの『ジャックのあたらしいヨット』の訳書で産経児童出版文化賞大賞を受賞。作品には『卵と小麦粉それからマドレーヌ』『キャベツ』『兄妹パズル』『すみれちゃん』シリーズなどがあり、2005年から2013年まで児童文学誌「飛ぶ教室」の編集人も務めました。

おすすめ対象年齢

この絵本は、1歳くらいの乳幼児から4歳頃までに特におすすめ。文章が短く、やさしい言葉で繰り返しのリズムも心地よいため、読み聞かせにもぴったりです。赤ちゃんにも伝わるあたたかい絵と、ポジティブな展開が、はじめての絵本体験としても最適です。

レビュー

はじめは「なんだか今日はついてない…」と思っていた小鳥やこりすたち。でも、物語が進むごとに状況が少しずつ好転していき、「あれ、いい日かも!」と思えるようになる展開がとても心にしみます。読んでいて、どんな日も小さな幸せを見つけられるんだという希望が感じられ、心がふんわりとあたたかくなりました。落ち込んだ日や、何かうまくいかない日にこそ手に取りたくなる絵本です。大人が読んでも癒される、やさしい一冊でした。