はなくんくん/ねじめ 正一

『はなくんくん』(文:ねじめ正一/絵:亀澤裕也/2013年 福音館書店)は、パン屋さんの前でパンの匂いを楽しんでいた「ぼく」の前に、巨大な犬が現れて「はなくんくん」。匂いを奪われまいと張り合ううちに、二人の“はなくんくん”はどんどん広がり、街じゅうを巻き込む大騒動に!軽快な言葉遊びと大胆な絵のタッチが絶妙にマッチした、五感がくすぐられる一冊です。日常の風景がちょっと特別に見えてくる、不思議な魅力があります。

略歴

ねじめ 正一

ねじめ正一(ねじめ・しょういち)さんは1948年、東京生まれ。詩人・作家として活躍し、詩集『ふ』でH氏賞、小説『高円寺純情商店街』で直木賞を受賞。下町的で人情味ある視点から作品を紡ぐのが特徴。エッセイやラジオ出演も多く、子ども向けの詩や絵本にも数多く関わっています。絵本では『わがままいもうと』『ずんずんばたばたおるすばん』なども知られています。

かめざわ ゆうや(絵)

かめざわ ゆうや(亀澤 裕也)さんは、神奈川県在住のイラストレーター・絵本作家。武蔵野美術大学デザイン情報学科卒業。やわらかく、あたたかなタッチのイラストで、赤ちゃんから楽しめる絵本や保育教材などで人気を集めています。『おいでおいで』では、動物たちのかわいい表情としぐさがとっても魅力的で、子どもたちが思わず指さしたくなるようなイラストが満載。赤ちゃんの「初めての絵本」にぴったりなやさしい雰囲気を大切に描かれています。

おすすめ対象年齢

『はなくんくん』は、3歳くらいから楽しめる絵本です。繰り返しの言葉とテンポのよい展開が、読み聞かせにもぴったり。シンプルな言葉ながら想像力を刺激する内容で、小さな子どもから大人まで一緒に笑える一冊です。

レビュー

この絵本、読んでいると自然と鼻が動き出しそうな感覚になります!「はなくんくん」というリズミカルなフレーズが繰り返されて、とっても耳に心地いい。日常の中の“匂い”がテーマというのもユニークで、読みながら匂いを想像してしまう不思議な体験。絵もどこかユーモラスで、犬と少年の鼻の張り合いが笑えます。読み終わるころには、何でも「くんくん」したくなっちゃうような、そんな気持ちにさせてくれる絵本でした!