『ジョンくんのてがみ』(2016年、童心社)は、手紙が大好きなジョンくんが、おばあちゃんに「気持ち」を届けようと奮闘する、あったかい物語。どんぐりや木の葉、野菜の皮(これがまた意外!)にメッセージを書いてポストに投函。でも切手も名前も忘れちゃって……。それでも手紙は思わぬかたちで、いろんな人に届いていきます。モノを通じた人のつながりや優しさがふわっと広がっていく感じに心がほぐれる一冊。新川智子さんのデビュー作で、第5回絵本テキスト大賞受賞作品でもあります。
略歴
新川 智子
新川智子(しんかわ・ともこ)さんは東京都生まれ。子育て支援団体「キッズファインカラー」の代表を務めながら、絵本作家としても活動されています。『ジョンくんのてがみ』(童心社)で第5回絵本テキスト大賞を受賞し、2016年にこの本でデビューを果たしました。作品は子どもと大人をつなぐ優しさに満ちており、人と人とのつながりを丁寧に描き出す作風が魅力です。絵本以外にも、「キッズファインカラー」を通じた支援活動や講演など、多方面で活躍されています
市居 みか(絵)
市居みか(いちいみか,1968年・兵庫県生まれ)さんは神戸大学教育学部美術科を卒業後、電器メーカーで企画・デザインに携わった後、絵本作家に転身。2001年に『ヘリオさんとふしぎななべ』(アリス館)で絵本作家デビュー。その後『イモムシかいぎ』『ろうそくいっぽん』『ねこのピカリとまどのほし』『いっぽんみちをあるいていたら』など多数の作品を発表し、2006年から始まる「こぶたのブルトン」シリーズでも人気を博しています。現在はイラスト・絵本制作のほか、ギャラリーでの個展やワークショップ講師、絵話塾での授業など幅広く活動中。温かみある画風と、登場キャラクターたちのユーモアあふれる表現が特徴です。
おすすめ対象年齢
対象年齢は4歳〜小学校低学年ごろがおすすめ。身近なものに手紙を書くというユニークな発想が面白く、文字が読めなくても楽しめる構成なので、小さなお子さんへの読み聞かせにもぴったり。人とのつながりをやさしく伝える一冊です。
レビュー
読んでいてほっこりしました。ジョンくんの素直な気持ちが、思わぬかたちで人に届いていくのが、なんだか“今”にぴったりな気がします。手紙って紙じゃなくてもいいんだ、って思わせてくれる発想がかわいくて面白いし、野菜の皮の便せんには驚きと納得! 市居みかさんのあたたかい絵が物語とぴったりマッチしていて、ページをめくるたびに優しい気持ちに。忙しい毎日でも、誰かに気持ちを伝えてみたくなるような、じんわりしみる絵本です。