そらはさくらいろ/村上 康成

作・絵:村上康成さんの『そらはさくらいろ』(2002年 ひかりのくに)は、桜が咲いた時期が描かれた絵本。うららかな春の日、みんながのんびり寝っころがるのを見ていた空さんが「いいな、いいな、僕も一緒に寝転がりたいな」って。そんなとき、ふわりと桜の花びらが舞いあがり、空いっぱいに広がって、空がふんわり桜色に染まりました。空さんも春のひとときを楽しめたようです。自然の美しさと気持ちのよさを体感できる、村上康成さんのやさしさが詰まった絵本です。春の空気を感じながら、ゆったり読んでみてください。

略歴

村上 康成

村上康成(むらかみやすなり)さんは1955年岐阜県生まれ。魚や森など自然をテーマにした作品が多く、「自然派アーティスト」としても知られます。代表作に『ピンクとスノーじいさん』や『なつのいけ』などがあり、1995年には『ようこそ森へ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。中川ひろたかさんとのコンビでも多くの絵本を手がけ、子どもたちの成長や日常をやさしく描き出しています。個展や講演活動も精力的に行い、絵本の魅力を広げ続けています。

おすすめ対象年齢

『そらはさくらいろ』の対象年齢は、おおよそ2歳〜小学校低学年くらいがおすすめです。自然や季節に興味を持ち始めた子どもたちにぴったりで、「空が主人公」という発想が、想像力をぐんぐん刺激してくれます。春を感じたい季節の読み聞かせにもぴったりな一冊です。

レビュー

読みながら、春の空気がすーっと胸に入ってくるような心地よさがありました。空さんの「いいな、いいな」という気持ちに、ちょっぴり共感しながら、桜の風が大空に舞って空を桜色に染める場面では、自分もその風景の中にいるような気分に。何気ない日常の中にも、こんなに美しい瞬間があるんだなと気づかされました。やさしくてあたたかな色合いも、村上康成さんならでは。季節を味わいたいときや、ちょっと心をゆるめたいときにぴったりの一冊です。