中川ひろたかさん作、柳原良平さん絵の『あっ!』(2008年・金の星社)は、赤ちゃん向けののりもの絵本。主人公の“ぼく”が、部屋のミニカーを見つけて「あっ!」から始まり、「ぶっぶー」と車を運転、電車、船と次々にのりかえていき、最後は飛行機で「きーん!ばいばい!」と空へ旅立つ展開。シンプルな言葉とテンポよく変わる乗り物シーンが魅力で、乗り物大好きな子にはたまらない1冊。出版社のおすすめ年齢は0~2歳。リズム感のあることばと大胆な絵で、読んで楽しい・見て楽しい内容です。
略歴
中川 ひろたか
中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。
柳原 良平(絵)
柳原良平(1931年 – 2015年)さんは、東京都出身のイラストレーター、漫画家、アニメーション作家、エッセイストです。幼少期から船に強い興味を持ち、軍艦の絵を描いたり、商船の絵葉書を収集したりしていました。京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)を卒業後、壽屋(現・サントリー)に入社。同社の宣伝部で開高健や山口瞳と共に「トリスウイスキー」のCMを制作し、自らデザインしたキャラクター「アンクルトリス」が大きな人気を博しました。この功績により、毎日産業デザイン賞や広告電通賞などを受賞しています。
サントリーを退社後は、フリーのイラストレーターとして活動を開始。船や港をテーマにした作品や文章を多数発表し、無類の船好きとして知られるようになりました。漫画家としては、1962年から1966年まで読売新聞夕刊に4コマ漫画『今日も一日』を連載。さらに、絵本作家としても活動し、1988年には絵本『かお かお どんなかお』を発表。この作品は、幼児向けのファーストブックとして高い評価を受けています。その多才な才能は広告、出版、アニメーションなど多岐にわたり、電通賞、毎日産業デザイン賞など数々の賞を受賞しました。
おすすめ対象年齢
この絵本は、0・1・2歳向けに作られていて、はじめての絵本にもぴったり。言葉がまだ少ない赤ちゃんでも、「あっ!」「ぶっぶー」「きーん!」といったオノマトペのリズムに自然と反応できる内容だから、親子の読み聞かせにも◎。のりものへの興味が芽生えたころにぴったりの1冊!
レビュー
とにかくテンポがいい!「あっ!」っていう一言から広がっていく“ぼく”ののりもの大冒険にワクワク。文字は少ないけど、絵と音だけでどんどん物語が進んでいくから、子どもは夢中になるはず。柳原良平さんの明快で力強いイラストは、赤ちゃんの目にもわかりやすくて、見ているだけで楽しい。読んであげる側もテンポよく読めて、最後の「きーん!ばいばい!」でスッキリ締めくくられるのが気持ちいい!乗り物好きな子も、これから好きになる子にもおすすめ。