あけましておめでとう/中川 ひろたか

『あけましておめでとう』は、中川ひろたかさん作、村上康成さん絵による、1999年に童心社から刊行された、「ピーマン村の絵本たち」シリーズの一冊です。お正月の定番行事がぎゅっと詰まっていて、門松やおせち、お年玉、初詣にたこ揚げなど、日本ならではの新年の風景がページをめくるたびに登場します。短いフレーズの「だからあけましておめでとう」のリズムが耳に残り、読みやすく 飽きません。初詣のひとときには、賑やかな人混みの中で「いい年になりますように」とお願いする様子もほっこり。新年の清々しい空気とほんのり改まった気持ちを、温かなイラストと言葉で伝えてくれる絵本です。

略歴

中川 ひろたか

中川ひろたかさんは1954年埼玉県生まれ。シンガーソングライター、絵本作家、保育士などさまざまな顔を持つクリエイター。1995年に『さつまのおいも』でデビュー。また『ないた』で日本絵本賞受賞。モー・ウィレムズ作品をはじめ、翻訳絵本も多く手がけ、独自のユーモアある語り口が魅力。さらに作曲された『世界中のこどもたちが』などの歌が、保育現場でも広く親しまれています。

村上 康成(絵)

村上康成(むらかみやすなり)さんは1955年岐阜県生まれ。魚や森など自然をテーマにした作品が多く、「自然派アーティスト」としても知られます。代表作に『ピンクとスノーじいさん』や『なつのいけ』などがあり、1995年には『ようこそ森へ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。中川ひろたかさんとのコンビでも多くの絵本を手がけ、子どもたちの成長や日常をやさしく描き出しています。個展や講演活動も精力的に行い、絵本の魅力を広げ続けています。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は 3歳〜。幼児にぴったりの内容で、お正月という特別な日のワクワクや楽しみを共有できます。リズムのある繰り返しの言葉と、柔らかく親しみやすいイラストで、読み聞かせにもぴったり。新年の始まりを家族みんなで楽しむきっかけにぴったりな一冊です。

レビュー

この絵本、読むたびに「あぁ、お正月だなぁ」と心がふんわり温かくなるんですよね。門松、おせち、お年玉…日本の伝統行事がさり気なく登場していて、まるで家族でお正月を迎えている気分に。特に「だからあけましておめでとう」のフレーズが繰り返されるリズムがリズミカルで、子どもたちも自然と声に出して言いたくなるはず。村上康成さんのやさしいタッチのイラストは、ほんのりノスタルジックで、お正月の特別な空気をそのまま絵に閉じ込めてくれている感じ。冬の一日に、親子で一緒に読むのにぴったりな小さな幸せが詰まった絵本です。