竹下文子さん作、鈴木まもるさん絵の『みんなで!いえをたてる』(2011年 金の星社)は、1軒の家が完成するまでの過程を、わかりやすく描いた絵本です。基礎工事から壁を立て、屋根をのせ、最後に仕上げるまでを、たくさんの人と工事車両が力を合わせて進めていく様子を定点観測のように楽しめます。ブルドーザーやクレーン車など、子どもたちが大好きな働く車が大活躍!細部まで丁寧に描かれた絵は、じっくり眺めるほど発見があり、工事の流れを楽しく学べる一冊です。
略歴
竹下 文子
竹下文子(たけしたふみこ)さんは1957年福岡県生まれ、東京学芸大学卒業。大学在学中から童話の執筆を始め、1978年に「月売りの話」で日本童話会賞を受賞。以降、『星とトランペット』『黒ねこサンゴロウ』シリーズなどで路傍の石幼少年文学賞を受賞し、長年にわたって児童文学・絵本の世界で活躍されています。代表作には『せんろはつづく』『ひらけ!なんきんまめ』『なまえのないねこ』など、受賞歴も多数(絵本にっぽん賞、産経児童出版文化賞、講談社絵本賞など)。静岡県在住で、多くの子どもたちに親しまれている作家です。
鈴木 まもる(絵)
鈴木まもるさんは1952年東京生まれ。東京芸術大学工芸科を中退後、1980年に『ぼくの大きな木』で絵本作家としてデビュー。作品数は200冊以上にのぼります。1995年に「黒ねこサンゴロウ」シリーズで赤い鳥さし絵賞を、2006年に『ぼくの鳥の巣絵日記』で講談社出版文化賞絵本賞、2015年には『ニワシドリのひみつ』で産経児童出版文化賞JR賞など数々の受賞歴あり。伊豆半島に在住し、画家・絵本作家として活動する傍ら、鳥の巣研究家として収集・展覧会・講演なども行っています。
おすすめ対象年齢
『みんなで!いえをたてる』は、4歳ごろから小学校低学年くらいまでが対象とされています。働く車や建築に興味を持ちはじめた子どもにぴったりで、家ができあがる工程を絵で追いながら理解できます。読み聞かせにも向いており、少し大きくなったら自分でページをめくりながら楽しめる、長く活躍する絵本です。
レビュー
この絵本を読んで、改めて「家が建つ」という大きな仕事は、たくさんの人と働く車の力があってこそだなと実感しました。工事の流れを順を追って見せてくれるので、大人でも「なるほど!」と勉強になります。ページをめくるたびに少しずつ家ができあがっていくワクワク感は、子どもと一緒に楽しむのにぴったり。特に車好きな子には大喜びされること間違いなしですし、細部まで描かれた絵を何度も眺めたくなる魅力があります。完成した家を見たときには、一緒に達成感を味わえるのも嬉しいポイントです。


