ころんだのだあれ?/垣内 磯子

『ころんだのだあれ?』(作:垣内磯子、絵:田中清代、2010年 鈴木出版)は、お風呂嫌いな子どもも楽しめるユーモアたっぷりの絵本です。お風呂で「だ・る・ま・さ・ん・が・こ・ろ・ん・だ」と数え始めたけん。すると山のお寺のだるまさんが、すってんころりん! さらに妖怪たちも、10文字の言葉で次々に転んでしまいます。ちょっぴり怖いけれど、どこかユーモラスな妖怪たちの姿と、銅版画で描かれる迫力のある絵がマッチして、ワクワクドキドキ。読みながら一緒に「何を転ばせよう?」と考えるのも楽しい一冊です。

略歴

垣内 磯子

垣内磯子(かきうち いそこ)氏は、東京都出身で、早稲田大学文学部仏文科を卒業された詩人、絵本・童話作家、翻訳家です。詩人としてデビューし、早稲田大学在学中には小野梓記念賞を受賞、またサンリオ詩とメルヘン賞なども受賞されています。詩集『春の通信簿』や『かなしいときには』、絵本『よるのとこやさん』など、多数の作品を手掛けています。近年では、フランスの作家オーレリー・シアン・ショウ・シーヌによる「ガストン」シリーズの翻訳を担当し、子どもたちの感情コントロールを助ける絵本として好評を博しています。翻訳に際しては、原作のニュアンスを大切にしつつ、子どもたちが楽しく読めるよう工夫を凝らしており、作品を通じて子どもたちに生きるノウハウが自然と伝わることを願っているそうです。

田中 清代(絵)

田中清代(たなか きよ)さんは1972年神奈川県生まれ、多摩美術大学で油彩と版画を学びました。在学中から絵本制作をスタートし、1995年にボローニャ国際絵本原画展でユニセフ賞、翌年には入選するなど国際的にも注目。デビュー作は1997年の『みずたまのチワワ』(文:井上荒野/福音館書店)。その後も銅版画の温かいタッチを活かした、『おきにいり』、『おばけがこわいことこちゃん』、『トマトさん』など多彩な作品を発表。また、自作で描いた『ひみつのカレーライス』や、再話を担当した『小さいイーダちゃんの花』なども人気です。2018年出版の『くろいの』では、日本絵本賞大賞や小学館児童出版文化賞など数々の賞を受賞し、今なお評価され続ける絵本作家です。

おすすめ対象年齢

対象は 3歳から小学校低学年くらいにおすすめです。お風呂が苦手な子でも、数え遊びと物語が一緒になっているので自然と楽しめます。ちょっぴり怖い妖怪も、転んでしまう姿はユーモラスで、怖がりすぎずに笑える絶妙なバランス。言葉遊びや「10文字」で考える工夫は、言葉に興味を持ち始めた子どもにぴったりで、遊びながら数や文字への関心を広げられます。

レビュー

この絵本、ほんと遊び心が最高です!「行って帰って」って仕掛け、子どものころに戻ったみたいなワクワクが止まりません。未来と過去を行き来するような宇宙船の旅に、読みながら自分も一緒に乗っかってしまいました。絵は田中清代さんらしい柔らかさと丁寧さがあって、宇宙の広がりがじんわり伝わってくるのも心地よいです。仕掛けの楽しさだけじゃなく、SFっぽいロマンもあって、大人にも刺さります。読んだ後にもう一度最初から読みたくなるリピート絵本の決定版です。