おどれ! ひなまつりじま/垣内 磯子

垣内磯子さんが作、松成真理子さんが絵を担当した『おどれ! ひなまつりじま』(2010年 フレーベル館)は、ひな祭りの夜に、人食い山姥(やまんば)がひな人形たちを起こして、にぎやかに踊り出すお話です。最初はちょっと不気味に思える導入から、一転、五人囃子や三人官女、おひなさまたちが次々と踊り狂う展開は、まるでインド映画のカラフルでテンション高いダンスシーンのよう。言葉のリズムも良くて、ノリノリで読み上げたくなる、元気いっぱいの絵本です

略歴

垣内 磯子

垣内磯子(かきうち いそこ)氏は、東京都出身で、早稲田大学文学部仏文科を卒業された詩人、絵本・童話作家、翻訳家です。詩人としてデビューし、早稲田大学在学中には小野梓記念賞を受賞、またサンリオ詩とメルヘン賞なども受賞されています。詩集『春の通信簿』や『かなしいときには』、絵本『よるのとこやさん』など、多数の作品を手掛けています。近年では、フランスの作家オーレリー・シアン・ショウ・シーヌによる「ガストン」シリーズの翻訳を担当し、子どもたちの感情コントロールを助ける絵本として好評を博しています。翻訳に際しては、原作のニュアンスを大切にしつつ、子どもたちが楽しく読めるよう工夫を凝らしており、作品を通じて子どもたちに生きるノウハウが自然と伝わることを願っているそうです。

松成 真理子(絵)

松成真理子さんは1959年生まれで、大阪府出身のイラストレーター・絵本作家。京都芸術短期大学(現・京都造形芸術大学)を卒業して、広告や雑誌のイラストの世界から絵本の世界へステップアップ。デビュー作『まいごのどんぐり』(童心社)で第32回児童文芸新人賞を受賞したのがきっかけ。主な作品には『じいじのさくら山』『ふでばこのなかのキルル』(白泉社)、『たなばたまつり』『はるねこ』(講談社)、『せいちゃん』(ひさかたチャイルド)、『ころんちゃん』(アリス館)などたくさんあって、ほんわかあったかい絵柄と物語が魅力です。

おすすめ対象年齢

対象年齢は 4〜6歳くらいがぴったりです。ひな祭りという身近なテーマに、山姥や人形たちが登場するちょっぴりクレイジーな展開が、幼児の想像力を刺激します。言葉のリズムを楽しむ読み聞かせにも最適で、親子で笑いながらテンション高めに読みたい一冊です。

レビュー

いやもう、読んでておかしくて楽しくて仕方なかったです!「やまんば」がひな祭り会場に突撃して、ひな人形たちを起こして、みんなで踊りだすって、斬新すぎ♪ 言葉のリズムが良くて、読みながら思わず口ずさみたくなります。松成真理子さんの絵も最高で、官女の表情やお雛様のワイルドなダンス姿がしっかり描き込まれていて、眺めているだけでも笑顔になります。読み終わるころには心が軽くて、「もう一回読もう!」っていう気持ちになります。ひな祭りってこういうお祭り気分だよね!と楽しめる一家に一冊の絵本です。