とよたかずひこさんの『たまごさんがね‥』(2008年 童心社)は、ユーモアと驚きがつまった楽しい絵本です。たまごさんがぽとんと落ちて「ぐっしゃ~ん!」となったとき、どうなっちゃうの?とハラハラさせながらも「しんぱいごむよう!」と元気に展開していきます。実は中から出てきたのは……と、意外な展開に子どもたちは大笑い。最後にはお友だちも集まってにぎやかにごちそうが始まり、読む人の心も一緒にほっこり温かくなる一冊です。ことばのリズムと繰り返し表現が楽しく、読み聞かせにもぴったりです。
略歴
とよた かずひこ
とよたかずひこ(本名:豊田 一彦)さんは、1947年、宮城県仙台市に生まれました。早稲田大学第一文学部を卒業されています。大学卒業後はフリーのイラストレーターとして活動し、長女の誕生をきっかけに絵本作家へと転身しました。1997年には『でんしゃにのって』で厚生省中央児童福祉審議会児童文化財特別推薦を受け、2001年には『どんどこ ももんちゃん』で第7回日本絵本賞を受賞しています。また、『あめですよ』は小学1年生の国語教科書(東京書籍)に採用されるなど、多くの作品が親しまれています。
おすすめ対象年齢
『たまごさんがね‥』の対象年齢は0~2歳ごろからとされています。繰り返しの言葉や擬音が多く、小さな子どもでも安心して楽しめます。また、意外な展開に驚きや笑いが生まれるので、言葉を覚え始めた時期のお子さんから、ユーモアを楽しめる年齢まで幅広くおすすめです。読み聞かせでも、自分で読むのでも楽しめる絵本です。
レビュー
この絵本を読んで、最初は「たまごさんが割れちゃった!」とドキッとしたのに、次の展開で思わず笑ってしまいました。シンプルな物語ですが、テンポよく進むので子どももすぐに引き込まれます。「しんぱいごむよう!」のフレーズが元気いっぱいで、読み聞かせのときに声を強調するとさらに楽しくなりそうです。最後にみんなで食卓を囲むシーンはとても温かく、読んでいる側も幸せな気持ちになります。言葉のリズム感もあり、何度でも読み返したくなる、まさにとよたさんらしいユーモラスで心温まる一冊だと思いました。