『いろいろへんないろのはじまり』は、作・絵:アーノルド・ローベル、訳:まきたまつこさんによる絵本で、英語の初版原題は『The great blueness and other predicaments』。アメリカで出版された作品です。日本語版は冨山房より1977年に初版が刊行されました。物語は、最初は色のない灰色だらけの世界から始まり、魔法使いがまず青、次に黄色、さらに赤の世界を作りますが、一色だけでは心が落ち着かず、そこで色を混ぜ合わせて新しい世界が生まれるお話です。
略歴
アーノルド・ローベル
アーノルド・スターク・ローベル(Arnold Lobel、1933年 – 1987年)は、ロサンゼルス生まれの画家兼作家。プラット美術学校卒業後、児童書を中心に執筆・イラストを手がけました。代表作は「がまくんとかえるくん」シリーズ(1970‑79年)、Caldecott Honor『ふたりはともだち』、Newbery Honor『ふたりはいつも』、Caldecott Medal『ローベルおじさんのどうぶつものがたり』など、多くの賞を受賞。子どもの心に寄り添う優しいタッチとユーモアを織り交ぜた作風は、現代でも愛され続け、1970~80年代にかけ日本でも翻訳・出版が進みました。
まきた まつこ(訳)
まきたまつこさんは、日本で活躍される絵本翻訳家です。まきたまつこさんに関する具体的な出生年や詳しい略歴は、現時点では公的な資料に明記されておらず、信頼できる外部情報が見つかりませんでした。1975年には冨山房から『いろいろへんないろのはじまり』を訳し、ローベル作品の魅力を日本のこどもたちに伝える重要な役割を担っていただいたことは確かです。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、幼稚園〜小学低学年くらいでしょう。物語の文量や描写のやさしさ、漢字がほとんど使われていない点から、小さなお子さまにも読みやすく親しみやすい内容です。
レビュー
この絵本、子どもと一緒に読んでみると本当に心温まる一冊です!冒頭の灰色の世界が、魔法使いの手によって少しずつ色づいていくさまは、ページをめくるたびにワクワクが止まりません。青、黄色、赤と単色の世界がつづく中で、「なんか落ち着かない…」と感じる展開がユーモラスで、大人でも「なるほどなあ」と思わず頷いてしまいます。最後には色の魔法の力で世界が彩られて、見ているだけでウキウキしてくるんですよね。訳のまきたまつこさんも、そんな色の魔法を日本語でやさしく、繊細に表現していて、あたたかい気持ちになります。この一冊は、絵本の楽しさと色彩の不思議さを、子どもに教える素敵な入り口になっているなあと改めて感じました。