ほりうちせいいちさんの『おおきくなるの』(2014年 福音館書店)は、“大きくなる”ということをさまざまな視点から描いた絵本です。小さな靴下がもうはけなくなったり、お姉さんの帽子がまだぶかぶかだったり。3歳の「わたし」が、数を数えられるようになったり、花の種や毛虫の変化を知ったりと、少しずつ成長していく姿が描かれています。身近な体験と自然の変化を重ね合わせながら、子ども自身が「これからどう大きくなるのかな」と想像を広げられる内容です。
略歴
堀内 誠一
堀内誠一(ほりうちせいいち,1932年 – 1987年)さんは、東京府向島(現・墨田区)出身のグラフィックデザイナー、エディトリアルデザイナー、絵本作家です。父・堀内治雄も図案家で、堀内は幼少期からデザインに親しみました。14歳で伊勢丹百貨店に入社し、ウィンドウディスプレイやレタリングの仕事を担当。その後、アド・センター株式会社を設立し、雑誌『an・an』『POPEYE』『BRUTUS』『Olive』のロゴデザインを手がけました。また、絵本作家としても活躍し、『ぐるんぱのようちえん』や『たろうのおでかけ』など、多くの作品を残しました。1974年から1981年までフランス・パリ郊外に移住し、現地の文化や芸術にも触れ、パリ在住日本人向けミニコミ誌の創刊に参画しました。1987年に永眠されました。
おすすめ対象年齢
『おおきくなるの』は、3歳前後から就学前の子どもにおすすめの絵本です。日々の小さな変化を実感し始める年齢の子が、自分の成長を重ね合わせながら楽しめます。シンプルで親しみやすい言葉と絵で構成されているので、読み聞かせにもぴったりです。
レビュー
この絵本を読んで、成長することの不思議さや嬉しさがとても丁寧に描かれているなと感じました。子どもの目線で「小さな靴下が入らなくなる」「数が数えられるようになる」といった変化を取り上げているので、親子で共感しながら読めるのが魅力です。また、花や毛虫の成長と重ねることで、自然の中の「大きくなる」という普遍的なテーマが広がりを持って伝わってきます。これから先どうなるんだろう、というワクワク感も残してくれる素敵な一冊だと思いました。


