ルドウィッヒ・ベーメルマンスさんが作・絵、江國香織さんが訳を手がけた絵本『ロンドンのマドレーヌ』です。パリの寄宿舎に住むマドレーヌたち12人の女の子と、ミス・クラベル先生が、引越してしまった仲良しのペピートに会うため、みんなそろってイギリス・ロンドンへ旅に出ます。ところが、ペピートの誕生祝いにプレゼントした馬が暴れ出し、マドレーヌとペピートを乗せてロンドンの街を大疾走!初版原題は『Madeline in London』、初版発行国はアメリカ、発行年は1961年です。日本語版は2001年にBL出版から出版されました。美しいロンドンの風景と、ハプニングに満ちた心躍る旅の様子が描かれています。
略歴
ルドウィッヒ・ベーメルマンス
ルドウィッヒ・ベーメルマンス(Ludwig Bemelmans,1898–1962)はオーストリア・チロルに生まれ、若くしてアメリカへ渡り作家・画家として活躍しました。移民としてさまざまな職を経験したのち、持ち前のユーモアと観察力を生かして執筆活動を始めます。彼の代表作は、1939年に誕生した「マドレーヌ」シリーズ。小さな寄宿舎の少女たちの姿を軽快な文体と鮮やかなイラストで描き、国際的に人気を集めました。『マドレーヌといぬ』はコルデコット賞を受賞するなど、高く評価されています。没後は孫のジョン・ベーメルマンス・マルシアーノがシリーズを継承し、その世界はさらに広がりました。また、ニューヨークのホテルに残る壁画など、大人向けの芸術作品もあり、多彩な才能を持つ作家として知られています。
江國 香織(訳)
江國香織(えくにかおり)さんは、1964年生まれの小説家・詩人です。お父様は児童文学作家の江國滋さんで、その影響もあり、ご自身も童話作家としてデビューされました。その後は小説家として大活躍され、特に女性の心理を繊細に描き出す作風で、多くの読者を魅了しています。代表作は、映画化もされた『東京タワー』や、直木三十五賞を受賞された『号泣する準備はできていた』など、多数あります。また、絵本の翻訳も精力的に行っておられ、『マドレーヌのクリスマス』をはじめとする「マドレーヌ」シリーズの翻訳家としても知られています。彼女の詩的で美しい言葉選びが、海外の名作に新たな命を吹き込んでいます。
おすすめ対象年齢
この絵本の対象年齢は、だいたい3歳から小学校低学年くらいのお子さんにおすすめです。パリからロンドンへという旅行のワクワク感や、馬が大暴れするスリル満点の展開に、子どもたちは夢中になるでしょう。また、外国の風景や文化に触れるきっかけにもなります。江國香織さんの翻訳が、リズミカルで心地よく、長めのお話ですが飽きずに最後まで楽しめますよ。
レビュー
マドレーヌシリーズを読むたびに、その勇敢さとユーモアに引き込まれますが、この『ロンドンのマドレーヌ』は特に旅の楽しさと友情が詰まっていて大好きです。パリからロンドンへ行くというだけで、もう冒険の始まりですよね!特に、マドレーヌとペピートが馬に乗って街中を駆け巡るシーンは、躍動感あふれるベーメルマンスさんの絵が際立っていて、読んでいるこちらも思わず笑ってしまいます。ロンドンの名所が背景に描かれているのも素敵。友情のために海を渡るマドレーヌの優しさと、ハプニングさえも楽しんでしまう彼女たちのおてんばな精神に、元気をもらえる一冊です。


