おべんとう/小西 英子

作:小西英子さんの絵本『おべんとう』は、お弁当箱に彩り豊かなおかずが次々と詰められていく様子を、丁寧で愛情深いタッチで描いた絵本です。「お弁当箱用意して、さあて何から入れようか?」という言葉と共に、お弁当作りがスタート!まずはお弁当の主役、ほかほか炊きたてのごはんが詰められます。そこへ、あつあつミートボールにふんわり卵焼き、そして子どもたちが大好きなタコさんウインナーが登場!緑のブロッコリーやトマトも加わり、バランス良く、隙間なくおかずが詰められていく様子は、まるで魔法のようです。2012年に福音館書店の〈幼児絵本シリーズ〉として刊行されて以来、「この本と同じお弁当を作りました」という声が多数届くほどの人気作です。

略歴

小西 英子

小西英子(こにしえいこ)さんは、1958年に京都市で生まれ、京都市立芸術大学の大学院で日本画を修了された絵本作家さんです。彼女の絵本は、身近な食べ物をテーマにしたものが特に有名で、その写実的でありながら温かみのあるタッチが魅力です。代表作には、『カレーライス』と同じく大人気の『サンドイッチ サンドイッチ』や『おべんとう』、『のりまき』(すべて福音館書店)などがあり、「食べ物絵本の第一人者」と言われています。また、赤ちゃん絵本『まるくて おいしいよ』も非常に人気が高い作品です。彼女の絵は、食材の色、ツヤ、質感、そして「あつあつの温度」までが伝わってくるようで、子どもたちの食への興味を強く引き出してくれます。現在も多くの親子に愛され続けています。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、2歳から4歳くらいのお子さんに特におすすめです。お弁当箱におかずが詰まっていくという一連の動作が分かりやすく、また、ミートボールや卵焼きなど、子どもたちにとって身近で親しみやすい食材がたくさん登場します。読み聞かせの際には、詰める動作に合わせて声を出したり、完成したお弁当を「ぱくっ!」と食べる真似をしたりと、ごっこ遊びに発展しやすいのも魅力です。食への興味や期待感を育む、食育にもぴったりの一冊です。

レビュー

『おべんとう』を読むと、作り手の温かい愛情が絵本の隅々から伝わってきて、胸がいっぱいになります。小西英子さんの絵のすごいところは、ただリアルなだけでなく、おかず一つひとつが主役として輝いているところですよね。炊きたてのごはんから湯気が出ている様子、焼き色のついたミートボールのツヤ、ふんわりとした卵焼きの厚み…。まるで、お母さんが自分のために、「美味しくなあれ」と願いながら詰めてくれたお弁当のようです。完成したお弁当は、本当に夢が詰まった宝石箱みたいで、見ているだけで幸せな気持ちになれます。この絵本は、お弁当という身近なテーマを通して、食べることの楽しさ、そして、誰かのために作る「思いやりの気持ち」まで教えてくれる、宝物のような絵本だと感じました!