フランダースの犬/ウィーダ

ウィーダ原作、いもとようこ絵・文の絵本『フランダースの犬』は、1872年にイギリスで発表されたウィーダの作品を基に、2006年に金の星社から出版されました。この絵本は、ベルギー・フランダース地方を舞台に、貧しい少年ネロと忠実な犬パトラッシュの深い絆と悲劇的な運命を描いています。いもとようこの温かみのあるイラストと優しい文章が、原作の感動をより一層引き立てています。

略歴

ウィーダ

ウィーダ(Ouida,1839年 – 1908年)は、イギリスの女性作家で、本名はマリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー(Marie Louise de la Ramée)です。サフォーク州ベリー・セント・エドマンズで、フランス人の父ルイ・ラメーとイギリス人の母スーザン・サットンの間に生まれました。20歳頃から執筆活動を始め、1863年にデビュー作『囚われの身となって(Held in Bondage)』を発表しました。代表作には、1867年の『二つの旗の下に(Under Two Flags)』や、1872年の『フランダースの犬(A Dog of Flanders)』などがあります。1870年頃、父の死をきっかけにイタリアのフィレンツェに移住し、晩年は多くの犬と共に暮らし、動物愛護活動にも尽力しました。1908年、肺炎のためヴィアレッジョで亡くなりました。

いもとようこ

いもとようこさん(本名:井本蓉子)は、1944年兵庫県生まれの絵本作家・挿絵画家です。金沢美術工芸大学油絵科を卒業後、小学校教員を経て絵本の世界に入りました。独自の貼り絵技法で温かみのある作品を多数手がけ、出版された絵本は400冊以上にのぼります。主な受賞歴として、1985年度『ねこの絵本』、1986年度『そばのはなさいたひ』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞しています。ちぎった和紙の貼り絵に着色する独自の技法で、柔らかく温かな表情の人物や動物を描き、創作童話や日本の昔話、世界の名作など多くの絵本を手がけ国際的にも高く評価されています。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、幼児から一般まで幅広く楽しめる内容となっています。特に、親子での読み聞かせや、小学校低学年の子どもたちに適しています。いもとようこの優しいイラストと簡潔な文章が、幼い読者にも理解しやすく、物語の深い感動を伝えることができます。

レビュー

この絵本を読んで、ネロとパトラッシュの深い絆と、彼らが直面する過酷な運命に胸を打たれました。いもとようこさんの温かみのあるイラストが、物語の悲しさと美しさをより一層引き立てています。原作の持つ深いテーマを、子どもたちにも理解しやすい形で伝えており、親子で一緒に読むことで、友情や愛情、そして困難に立ち向かう勇気について考える良い機会になると感じました。この絵本は、世代を超えて多くの人々の心に残る作品だと思います。