どうぶつえんのピクニック/アーノルド・ローベル

アーノルド・ローベル作・絵の『どうぶつえんのピクニック』、英語の原題は”A Holiday for Mister Muster”で、アメリカで1963年ごろに初めて出版されたようです。日本語版は岩波書店「岩波の子どもの本」シリーズとして1978年に刊行されました。物語は、動物園の動物たちが風邪が治った後、飼育係のマスターさんとバスで海へピクニックに出かけます。遊園地へ寄ったら楽しすぎて帰りたがらず、マスターさんが思いついた“名案”とは…?という心温まるユーモラスなお話です。

略歴

アーノルド・ローベル

アーノルド・スターク・ローベル(Arnold Lobel、1933年 – 1987年)は、ロサンゼルス生まれの画家兼作家。プラット美術学校卒業後、児童書を中心に執筆・イラストを手がけました。代表作は「がまくんとかえるくん」シリーズ(1970‑79年)、Caldecott Honor『ふたりはともだち』、Newbery Honor『ふたりはいつも』、Caldecott Medal『ローベルおじさんのどうぶつものがたり』など、多くの賞を受賞。子どもの心に寄り添う優しいタッチとユーモアを織り交ぜた作風は、現代でも愛され続け、1970~80年代にかけ日本でも翻訳・出版が進みました。

舟崎 克彦(訳)

舟崎克彦さん(ふなざき よしひこ、1945年、東京生まれ)は、学習院大学卒業後、白百合女子大学の教授としても活躍された創作・詩・翻訳・イラストと幅広く手がける絵本作家です。1978年にはアーノルド・ローベル作『どうぶつえんのピクニック』を日本語に訳し出版されました。代表作には、自作も含めた「ぽっぺん先生」物語シリーズや、『雨の動物園』などがあり、後者では国際アンデルセン賞の候補にもなった評価もあります。

おすすめ対象年齢

『どうぶつえんのピクニック』は、3歳ごろから楽しめる絵本です。やさしい文章と、動物たちがにぎやかに遊ぶ場面が多いので、小さな子でも飽きずに読み聞かせができます。お話の流れもシンプルなので、幼稚園〜保育園の年少・年中さんにぴったりです。また、小学低学年になると「動物たちが帰りたがらない理由」や「マスターさんの名案」に共感して笑えるので、長く親しめる一冊です。

レビュー

この絵本、とってもかわいくて心がホッとする一冊だと感じました。動物たちが海で遊んで遊園地で大はしゃぎするシーンは、ページをめくるたびに「ああ楽しそう!」って思わず笑顔になります。特に戻りたくない動物たちの気持ちもよくわかるなあ…。マスターさんが困って考えて、最後にうまくまとめてくれるのが大人目線でも「さすがだな」と感動します。舟崎さんの訳もやさしくて、ユーモアがきちんと日本語にきれいに溶け込んでいるのがいいですね。読後にはほんわかした幸せな気持ちが残って、親子で共有するのにぴったりな絵本だと思いました。