コーちゃんのポケット/ドン・フリーマン

ドン・フリーマン作・絵、さいおんじさちこ訳『コーちゃんのポケット』(原題:A Pocket for Corduroy,1978年)は、くまのぬいぐるみコールテンくんが主人公の続編絵本です。1978年にアメリカで刊行され、日本語版は1982年にほるぷ出版から登場しました。ある日、洗濯に出かけた女の子リサとコーちゃん。コーちゃんは「ポケットがほしい」と思い、洗濯物の山にまぎれこんで大冒険! けれども迷子になってしまいます。仲良しの絆と、小さな願いを描いた物語で、前作『くまのコールテンくん』とあわせて読むとさらに心温まります。

略歴

ドン・フリーマン

ドン・フリーマン(Don Freeman, 1908-1978)は、アメリカ出身の画家・絵本作家・イラストレーター。ニューヨークで画家として活動したのち、1950年代以降、児童書や絵本の執筆・挿絵を多数手がけました。代表作といえばまず『Corduroy』(日本語版『くまのコールテンくん』)が長年にわたって親しまれており、全米教育協会「教師が選ぶ子ども向け本TOP100」にも選ばれています。続編として1978年に『コーちゃんのポケット』(A Pocket for Corduroy)も書かれ、絵本だけでなく、背景にニューヨークの街や人々への観察眼からくる静かな感情描写がある点が高く評価されています。

西園寺 祥子(訳)

西園寺祥子(さいおんじさちこ)さんは、翻訳家としてご活躍されています。彼女の翻訳は、原文の持つ温かさやユーモアを大切にし、日本語の響きを美しく表現することで知られています。代表作としては、同じくドン・フリーマンさんの作品である『くれよんのはなし』や『あしかのあーすけ』、そして『コーちゃんのポケット』などがあります。親しみやすい日本語で子どもたちに物語を届けました。繊細な言葉選びとあたたかな語り口が特徴で、コーちゃんのユーモラスさやリサとの絆がより身近に感じられる仕上がりになっています。そのほかにも欧米の絵本を日本に紹介する活動を通して、子どもたちが海外の文化や物語に触れるきっかけを広げてきました。

おすすめ対象年齢

『コーちゃんのポケット』は、幼児から小学校低学年くらいまでの子どもにおすすめです。お話の展開はわかりやすく、やさしい文章と愛らしい絵で小さい子も楽しめます。一方で「迷子になる不安」や「持ち物がほしい」という気持ちなど、子どもに身近なテーマが描かれているので、少し大きい子にも響く内容です。親子の読み聞かせにもぴったりの一冊です。

レビュー

『コーちゃんのポケット』を読むと、コーちゃんの「ポケットがほしい」という小さな願いがとても愛おしく感じられます。洗濯屋さんで迷子になる場面はちょっとドキドキしますが、最後にはリサと再会してホッと安心。友情や信頼の大切さが自然に伝わってきます。前作を読んでから手に取ると、キャラクターへの親しみがさらに増して、コーちゃんの冒険を一緒に応援したくなります。くまのぬいぐるみという身近な存在を通じて、子どもに寄り添う優しい世界が広がる一冊だと思いました。