みつけたぞぼくのにじ/ドン・フリーマン

『みつけたぞ ぼくのにじ』は、作・絵:ドン・フリーマン(原題 A Rainbow of My Own)、訳:大岡信さんによる絵本です。Freemanのこの作品はアメリカで初版が出され、おそらく1966年ごろと思われます。日本語版は1977年、岩波書店の「岩波の子どもの本」シリーズから出版されました。ストーリーは、雨のあと、空にかかった美しい虹を見た「ぼく」が、「自分だけの虹をつかまえて遊びたい」と飛びだすところから始まります。虹をよじのぼったり、滑りおりたりできたらどんなに愉快だろう――という幼い子どもの豊かな空想が、Freemanのやわらかく親しみやすい絵とともに展開されていきます。子どもの心の動きと空想の自由さを素直に描いた、夢見る気持ちを大切にしてくれる絵本です。

略歴

ドン・フリーマン

ドン・フリーマン(Don Freeman, 1908-1978)は、アメリカ出身の画家・絵本作家・イラストレーター。ニューヨークで画家として活動したのち、1950年代以降、児童書や絵本の執筆・挿絵を多数手がけました。代表作といえばまず『Corduroy』(日本語版『くまのコールテンくん』)が長年にわたって親しまれており、全米教育協会「教師が選ぶ子ども向け本TOP100」にも選ばれています。続編として1978年に『コーちゃんのポケット』(A Pocket for Corduroy)も書かれ、絵本だけでなく、背景にニューヨークの街や人々への観察眼からくる静かな感情描写がある点が高く評価されています。

大岡 信(訳)

大岡信(おおおか まこと,1931-2017)さんは静岡県三島市生まれの詩人・評論家で、東京芸術大学名誉教授、日本ペンクラブ会長も務めました。朝日新聞に「折々のうた」を約6700回連載し、詩歌の魅力を広く伝えました。詩集『わが詩と真実』や評論『紀貫之』など代表作多数。さらに「連詩」を提唱し国際的な文化交流にも尽力しました。翻訳にも力を注ぎ、ドン・フリーマン作の絵本『みつけたぞ ぼくのにじ』(1977年、岩波書店)は代表的訳書のひとつです。

おすすめ対象年齢

この絵本の対象年齢は、おおよそ3〜6歳くらいがちょうどよいと思います。文章がシンプルで、絵が豊かに語りかけてくれるスタイルなので、幼児期の子どもでも読み聞かせで楽しめますし、自分でページをめくりながら空想を楽しむ入口としてもぴったりです。虹を“遊び道具”に見立てるような、想像力を刺激するお話なので、幼い子どもたちの「なんでもできるかもしれない」という気持ちを後押ししてくれる一冊です。

レビュー

『みつけたぞ ぼくのにじ』を読むと、まず「虹を自分だけのものにしよう」と思う“ぼく”の大胆で無邪気な発想にハッとします。空にかかる虹を追いかけてよじ登り、滑りおりたりするなんて、現実にはできないけれど、子どもの心の中ではそれが当たり前の遊びになる――という自由さと夢見る力に、こちらも一緒にワクワクしてしまいます。Freemanの絵は柔らかく、でもしっかりしていて、現実の空と、虹をつかまえようとする“ぼく”の想像の世界が、違和感なくつながって見えてくるのが素晴らしいと思います。また、大岡信さんの訳も、子どもの語りかけるような口調が自然で、空想をどんどん広げていく“ぼく”の気持ちが日本語でも感じやすくなっていて、とても読みやすく、あたたかい。子どもの「やってみたい!」という気持ちをそのまま肯定してくれる、そして読んだあとこちらも「もっと自由に想像していいんだな」と思わせてくれる、やさしくて夢見る力をくれる一冊です。